ユビキタスエンターテインメントが発売する「enchantMOON」は、アプリケーション開発をメインに手がける同社が、OSからハードウェアまで独自開発したタブレット端末。映画監督の樋口真嗣やイラストレーターの安倍吉俊、哲学者の東浩紀といった各界で活躍する著名人たちが設計段階から参加しているだけあって、一般的なタブレット端末とはかなり異なる物に仕上がっている。今回は発売に先駆けて「enchantMOON」のタッチ&トライを行いながら、同社の「enchantMOON」製品担当者にお話を伺った。
ブロックのように扱うプログラミング言語「MOONBlock」
前回の記事では、「enchantMOON」の中心をなす「手書き」に特化したUIを紹介した。今回は、同機が搭載しているもうひとつの個性的な部分に迫っていきたい。それは、ブロックのパーツを組み合わせて記述するプログラミング言語「MOONBlock(ムーンブロック)」である。
プログラミングというと専門の技術者が使うもの、というイメージを持つ人も多いと思うが、2012年度からの文部科学省の新学習指導要領では中学校の技術家庭科でプログラミングが必修になるなど、基本的な知識として受け入れられ始めている。とはいえ、素人がいきなりコードを書くのは至難の業だが、「MOONBlock」を使うと、まるでブロックで遊んでいるような簡単な操作でプログラムを組むことが可能だ。
子供でも親しみやすいインタフェースで、オリジナルのゲームを作って友人と共有したり、同端末の中で使う機能をカスタマイズしたりすることもできる。担当者は、例えば小中学校では、サッカーなどのスポーツが上手いと「かっこいい」と言われるのと同様に、プログラミングができることで「モテる」時代がくれば、とも冗談めかしつつ、「MOONBlock」によってユーザーが機能をどんどん拡張できる「カスタマイズ性の高さ」も、「enchantMOON」の大きな特徴だと強調。そして、「(これまでのタブレット端末のように)与えられたアプリを使うというところから一歩進んで、自分でプログラミングしてこの端末を使いこなしてほしい」、「enchantMOONがユーザーによってどういう風に進化していくのか、とても楽しみです」と展望を語った。
「MOONBlock」の遊び心の源流はミニ四駆?
MOONBlockの元となった「前田ブロック」 |
ちなみに、「MOONBlock」は、現在同社が「前田ブロック」という名前で公開しているプログラミング言語が元になっている。この言語の名前は、開発に携わった元・"タミヤの前ちゃん"こと前田靖幸氏の名字からとられている。前田氏は同社のCHO(チーフ・ホビー・オフィサー)に就任しており、かつて子供たちを夢中にさせたミニ四駆ブームの立役者が、今度はプログラミングの世界を面白くしようとしているのだ。