政府は25日、2013年版の「少子化社会対策白書」を閣議決定した。白書では、未婚率の上昇や、子育て世代の低所得層へのシフトなどが少子化につながっていると分析している。
白書は、20~39歳の未婚率について、男女ともに上昇し続けていると指摘。総務省の「国勢調査」によると、2010年の未婚率は、男性では25~29歳が71.8%(1980年55.1%)、30~34歳が47.3%(同21.5%)、35~39歳が35.6%(同8.5%)、女性では25~29歳が60.3%(同24.0%)、30~34歳が34.5%(同9.1%)、35~39歳が23.1%(5.5%)となり、30年前と比べて17.6ポイント~36.3ポイントも増加していた。また、生涯未婚率を30年前と比較したところ、男性は2.60%から約10倍の20.14%に、女性は4.45%から2倍強の10.61%に上昇していた。
2011年の日本人の平均初婚年齢は、男性が前年比0.2歳上昇の30.7歳、女性が同0.2歳上昇の29.0歳。1980年の平均初婚年齢は、男性が27.8歳、女性は25.2歳で、約30年間で男性は2.9歳、女性は3.8歳上昇したことになり、晩婚化が進んでいる状況が浮き彫りになった。
2011年の合計特殊出生率は前年と同ポイントの1.39で、微増傾向にあるものの、なお低い水準にとどまっている。女性の平均出産年齢を見ると、2011年の第1子出産年齢は30.1歳で、初めて30歳を超えたことが判明した。
国立社会保障・人口問題研究所の「第14回出生動向基本調査結婚と出産に関する全国調査(独身者調査)」(2010年)によると、「いずれは結婚しよう」と考える未婚者の割合は、男性は86.3%、女性は89.4%と比較的高い水準だった。しかし、「一生結婚するつもりはない」と答える未婚者の割合を見ると、1987年(第9回)は男性4.5%、女性4.6%だったが、2010年は男性9.4%、女性6.8%となっており、男女ともに緩やかな増加傾向にある。
また、パートや派遣など非典型雇用者の結婚率が正社員の半分以下となった調査結果を紹介。「就労形態の違いにより家庭を持てる割合が大きく異なっていることがうかがえる」と分析している。
さらに白書は、子育て世代の所得分布がこの10年間で低所得層にシフトしていることに言及。1997年には、30代は年収500~699万円、20代は300~399万円の雇用者の割合が最も多かったが、2007年には、30代は300~399万円、20代は200~249万円が最多となっていた。また、子育て世代にある30代男性の約5人に1人が週60時間以上の長時間労働に就いているほか、6歳未満の子どもを持つ男性の育児時間は1日平均約40分程度にとどまっているとし、男性の育児参加が進んでいない現状を改めて指摘した。