ローランドは、「Pro Light + Sound 2013」および「NAB 2013」にて発表された最新の製品を国内向けに紹介する「ローランド Audio & Visual 新製品内覧会 2013」を、同社東京オフィスにて開催した。
同イベント前半では、オーディオ関連の最新ソリューションをまとめて解説。人気のあるライブミキシング・コンソール「V-Mixer」シリーズ(M-200i/M-300/M-380/M-480)は、システム・プログラムのアップデートにより、モニターDimmerやグローバルスコープ、シーンフェードなど実際の現場で重宝する機能を追加搭載。LANやiPadを使用したリモートコントロールが可能になるなど、V-Mixerをさらに便利に使えるようになった。システムの導入時例を紹介するビデオには、音楽プロデューサーである佐久間正英氏などが登場し、自らが現場でV-Mixerシステムを導入した際に感じたメリットやアドバンテージなどについて語った。
「V-Mixer」シリーズの「M-200i」。トークバック時のハウリングを防ぐディマー機能をモニター出力に搭載するなど、「V-Mixer」シリーズの魅力をさらに拡張するアップデートが提供中。既存のユーザーは無償にて最新バージョンを入手可能だ |
また、10ch(24bit/96kHz)レコーダーに、 8chデジタル・ミキサー機能を統合したポータブル・レコーダー&ミキサーとして、多彩なシーンで活躍する「R-88」にも、最新システム・プログラム(Ver1.1)がアナウンスされた。ユーザーからのリクエストが多かったという外部コントローラーへの対応をはじめ、インプットにはローカット周波数の可変やディレイ、チャンネル・リンク機能も追加。ヘッドホンのデジタル・ブーストなど、利便性も大きく向上している。なお、会場では、TOMOCA社により試作された8チャンネルフェーダーとR-88を組み合わせたシステムが紹介されていた。
ポータブル・レコーダー&ミキサー「R-88」。最新バージョンでは、入力にローカット周波数可変やディレイ、チャンネル・リンク機能を追加。外部コントローラーへの対応により、収録現場でのより直感的なオペレーションが行えるようになった |
さらに、イベント後半ではNAB 2013に初出品されたビデオ関連の製品が初披露された。オーランドで開催される音響/映像機器展「InfoComm 2013」で発表された注目の新製品であるマルチフォーマットAVミキサー「VR-50HD」は、3G/HD/SD-SDI/HDMI入力&USB3.0出力を装備した映像と音を1台で扱えるオールインワンマシン。本体左がデジタル・オーディオ・ミキサー、右がビデオ・スイッチャーという直感的なインタフェースにより、煩雑になりがちな映像および音の編集作業を1台のみでシンプルに行える環境を実現する。また、USBからは音と映像の同時出力が可能となっており、ライブ配信や映像コンテンツの収録などで威力を発揮してくれる。
マルチフォーマットAVミキサー「VR-50HD」。コンパクトなボディーに4系統12入力マルチフォーマット・ビデオスイッチャーと 12chデジタル・オーディオ・ミキサーを融合。USB3.0により非圧縮フルHD1080/60pでパソコンへダイレクト出力できる |
続いて、ロスレス変換が高い評価を得ている同社のミニ・コンバーター、VC-1シリーズの最新モデルとなるビデオ・スキャン・コンバーター「VC-1-SC」(8月発売予定)が発表された。多様化する映像フォーマットに対応すべく開発された本機では、3G/HD/SD-SDI、HDMI、RGB/コンポーネント、コンポジット入力を、3G/HD/SD-SDI、HDMIとして出力可能。フレーム・シンクロナイザー(FS)およびスケーラーを搭載しており、アップ/ダウン/クロス/スキャン・コンバート、フレームレート簡易変換、I/P変換、さらにアスペクトなどの変換をサポートしている。また、プレゼンテーションでは、VC-1シリーズのメリットとして、コンバート前と後での画質や遅延の圧倒的な少なさ、使用時にも本体の発熱量が極小であることなどが、実際に映像制作や配信を行う現場で同機を採用している企業の担当者からのコメントとして紹介されていた。
なお、同イベントでは、新製品やアプリケーションを紹介するショートプレゼンテーションだけでなく、今回発表された新製品の数々はそのまま、実際に動作を体験することができるハンズオンコーナーでも展示が行われており、多くの来場者で賑わいをみせた。