ラッカスが独創的な技術でWi-Fiの課題を解決する
ネットワンパートナーズが扱う先進的なソリューションの1つとして、ラッカスワイヤレスジャパンのWi-Fi製品があげられる。「ラッカスの提供するSmart Wi-Fiテクノロジー」では、ラッカスのテクニカルディレクターを務める小宮博美氏が登壇し、同社の独創的な技術と製品について紹介した。
ラッカスは、Wi-Fiコントローラや屋内外アクセスポイント、管理ソフトウェアなどを開発・提供する企業向け無線LANソリューションベンダーである。小宮氏は、ラッカスは世界でもトップ3に入るWi-Fiベンダーであるが、社員の半数以上がR&D部門に属し、今なお開発の手を緩めることなく新しい技術を生み出していると言及した。
従来は有線が主体であった企業ネットワークは、配線コスト、レイアウト変更、無線LAN技術の発展、スマートデバイスの普及といったさまざまな要因から、無線LANへ移行しつつある。
しかし、Wi-Fiを使うデバイス、アプリケーション、ユーザー、トラフィックといった要素が急増することによって、さまざまな問題が生じ始めている。
1つは、従来から課題とされている「干渉」だ。Wi-Fiで用いる電波は干渉に弱く、デバイスが増加するとパケットロス、データレートやカバレージの低下に直結してしまう。また、デバイスの増加は決して広帯域とは言えない無線LANの「容量」を圧迫し、利用の制約や管理の複雑化といった課題を生じさせる。さらに、無線であるがゆえに「ユーザーは自由に移動する」ということを前提とした、いつでもどこでも快適につながる「柔軟性」と十分な「規模」を求める。
こうした課題に対してラッカスは、さまざまな技術を提供してきた。小宮氏が特に強調するのは、「アダプティブアンテナ」として分類されるアンテナおよび電波コントロールの技術だ。
「BeamFlex」と名付けられた独自技術は、「汎用ラジオチップ」と「ダイナミックスマートアンテナ」「スマートアンテナソフトウェア」で構成される。
ダイナミックスマートアンテナは、構造に特長がある。一般的な無線LAN装置で採用されている棒状の全方向性アンテナ(オムニアンテナ)では、基本的には円形のアンテナパターン(電波のエネルギー形状)しか形成することができない。
一方、ラッカスのアンテナは一風変わった形をしており、専用のソフトウェアで指向性を操作し、出力をコントロールすることにより、任意のアンテナパターンを作り出すことが可能だ。任意に電波干渉を避けて、パケットロスやデータ再送を最小化してカバレージを広げ、通信の高速化を実現するということである。
カナダの商用高層ビルで行われた実験によれば、オムニアンテナを採用した他社AP1台ではフロアの1/3程度が空洞になってしまったところ、ラッカスのAPではフロアすべてをカバーでき、さらには上の階のほとんどまで電波を届けることができたという。また、多数のWi-Fiデバイスが利用されている干渉の多い環境下での実験においても、BeamFlexではビジネスに影響がない程度の通信速度を保ち続けることができた。
マルチベンダーサポートを1つの窓口で
ネットワンパートナーズ プロダクト営業部の加藤勲氏は、小宮氏の講演を受けて、ラッカスの技術力を「アンテナ力」として評価し、シンプルで高いコストパフォーマンスを誇る製品として推奨するという。ネットワングループの技術力と付加価値の高いサービスを基に、ホテル業界や小売業界、文教市場、サービスプロバイダーなど、より広範な無線LAN市場へラッカス製品を広めて行きたいと語った。
ここまでさまざまなベンダーや製品を紹介してきたように、ネットワンパートナーズおよびネットワングループの強みの1つは「マルチベンダーサポート」を提供することにある。
ユーザーは、1つのベンダーにしばられることなく最適のシステムを選ぶことができる。そのうえ複数のサポート窓口に混乱することなく、一本化されたサービスデスクと障害対応部門の技術力によって、速やかに問題解決へ向かうことができる。
加藤氏は、2013年5月の本社移転に伴って新規オープンした「Innovative Office見学エリア」で、ネットワングループが自らを試験対象とした"ワークスタイルの変革"に触れ、リニューアルされた「ソリューション・ブリーフィング・センター」でさまざまなソリューションを体験してほしいと講演を締めくくった。