厚生労働省はこのほど、2012年度の「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」についてまとめた結果を発表した。それによると、2012年度に仕事によるストレスなどが原因でうつ病などの精神疾患を発症し、労災認定された人は前年度比150人増の475人となり、3年連続で過去最多を更新した。
精神疾患が原因で労災認定を受けた475人のうち、未遂を含む自殺と認定された人は前年度比27人増の93人で、こちらも過去最高を記録した。
労災認定された人を年齢別に見ると、「30~39歳」が最も多く149人。次いで、「40~49歳」が146人、「20~29歳」が103人、「50~59歳」が50人、「60歳以上」が23人、「19歳以下」が4人となり、うち40代は前年度の71人から倍以上に増加していた。
業種別(大分類)に見た場合、「製造業」が最多で93人。以下、「卸売業、小売業」が66人、「運輸業、郵便業」と「医療、福祉」が52人、「情報通信業」が35人、「宿泊業、飲食サービス業」が30人、「建設業」が22人と続いた。
原因については、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」が59人でトップ。次は「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、または暴行を受けた」の55人で前年度より15人増加した。以下、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」が51人、「(重度の)病気やケガをした」が45人と続いたほか、「1カ月に80時間以上の時間外労働を行った」が前年度比29人増の32人、「上司とのトラブルがあった」が同19人増の35人、「セクシャルハラスメントを受けた」が同18人増の24人と急増していた。
都道府県別で最も多かったのは「東京」の90人。次いで、「神奈川県」が46人、「大阪」が36人、「北海道」が27人、「兵庫」が24人、「宮城」が22人となった。
全体の請求件数は前年度比15件減の1,257件、決定件数は同143件増の1,217件。決定件数のうち、労災認定された割合は同8.7ポイント増の39.0%で過去最高を更新した。
一方、脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況を見ると、労災認定された人は前年度比28人増の338人で、2年連続で増加。このうち、いわゆる「過労死」に当たる死亡者は同2人増の123人だった。
業種別に見た場合、「運輸業、郵便業」が49人でトップ。以下、「製造業」が42人、「建設業」が38人、「宿泊業、サービス業」が24人と続いた。
全体の請求件数は前年度比56件減の842件、決定件数は同23件増の741件。決定件数のうち労災認定された割合は同2.4ポイント増の45.6%となった。