真木よう子が、『ベロニカは死ぬことにした』(2006年)以来、7年ぶりに単独主演を務めた『さよなら渓谷』の初日舞台あいさつが22日、東京・有楽町スバル座で開催。真木よう子、大西信満、鈴木杏、鶴田真由、大森立嗣監督が登壇した。

左から、大森立嗣監督、鈴木杏、真木よう子、大西信満、鶴田真由、

本作の原作は、『悪人』などで知られる芥川賞作家・吉田修一の同名小説。隣家で起こった幼児殺人事件をきっかけで、ある若夫婦に隠された忌まわしい過去が暴かれていく。真木よう子は、心に闇を抱える複雑なヒロイン像を熱演。真木の相手役を、『キャタピラー』(2010年)の大西信満が務めた他、大森南朋、鈴木杏、鶴田真由らが出演し、『まほろ駅前多田便利軒』(2011年)の大森立嗣監督がメガホンを取った。

真木は、本作の出演を決めた理由について「覚悟がいるし、引っ張られてしまうんじゃないかという不安もあったけど、それ以上に作品に魅了され、他の女優さんが(この役を)やっている姿を見たくないとも思いました」と語った。さらに「自分では役が抜けたと思っていたけど、取材を受ければ、昨日のことのように思い出せます。それくらい染み付いていたし、役になっていたんだなと、今になって思います」と、手応えを口にした。大西信満も「役をやるのは(役の)人生を生きるということ。僕も、去年の夏から秋にかけて、この作品に関わっていたことは鮮明に覚えています」と振り返った。

最後に、サプライズ演出で、原作者の吉田修一が真木らに当てた感謝の手紙がMCによって読まれた。本作は、6月20日に開幕した第35回モスクワ映画祭のコンペティション部門に出品されるが、吉田はそのことについて、「期待以上の形で大きな夢を叶えてくれました」と、大森監督を称えた。また、真木については「今回、真木よう子という女優に出会えて、本当に良かったと思っています」と絶賛。その手紙を受け、「やられました」と感動していたゲスト陣。真木は「撮影の時は、周りの方々に『頑張れ!大丈夫だ』と言ってもらうだけで乗り越えてきたので、今、吉田さんに『ありがとうございました』と言っていただけたことは、この上ない幸せです」と、感無量の様子だった。モスクワ映画祭へは、真木、大西、大森監督も渡航するということで、海外での評価にも期待がかかる。