女優の倉科カナが15日、東京・渋谷ユーロスペースで行われた、映画『遠くでずっとそばにいる』の初日舞台あいさつに出席した。

映画『遠くでずっとそばにいる』の初日舞台あいさつに出席した倉科カナ

映画『遠くでずっとそばにいる』は、狗飼恭子の同名小説(幻冬舎刊)を長澤雅彦監督が実写化し、映画監督の岩井俊二が音楽を担当した作品。交通事故で10年分の記憶を失ってしまった27歳の志村朔美(倉科)は、頭の中だけが17歳に戻ってしまった状況を楽しみつつも、自分の過去が気になり始める。恋人だったと思われる細見良彦(中野裕太)らに助けられながら記憶を辿っていく朔美は、ある不可解な事実に行き着く――というストーリーで、映画は全国順次公開中。

イベント前に報道陣の取材に応じた倉科は、頭の中だけが17歳という難しい役どころを演じ「記憶がスッポリ無いので、作りようが無くて難しかった。核たるものは変らないですし、声色を変えたりしても意味が無いので」と苦労を語り、「自分の過去を聞いた10年後のリアクションは意識して演じました」と撮影を振り返った。普段から物忘れが激しいと打ち明けた倉科は、忘れたい過去について「『嫌な事もすべて経験なので』ってキレイに言いたいけど……、多々ありますね。嫌な事は忘れていくので、具体的には思い出せないんですけど」と話し、10年前に戻ってしまったら? と聞かれると「15歳かぁ。早い方が良いので、芸能界に入ってます!」と笑顔で答えた。

舞台あいさつには、倉科のほかキャストの中野、長澤監督、岩井が出席。同作のロケはすべて秋田で行なわれており、長澤監督は「秋田市のみなさんに支えられて出来た作品。ここに立っているのが幸せです」と感謝し、倉科は「監督は現場で何もおっしゃらないので、とても不安でプレッシャーを感じてました。あの時頑張って良かったなと」と公開に感慨深げ。自身が監督する作品以外で初めて音楽を担当した岩井は、「ある時、長澤さんに『岩井さんに音楽を発注しても良いんですか?』と聞かれたので受注しました。テーマ曲まで作るとは思って無かったけど」と経緯を語り、「音楽で描きたいテーマが"記憶"だったので、映画とシンクロしていた。じんわりと記憶に留まる素敵な映画になったと思う」と自信を持ってアピールした。