国際労働機関(ILO)は12日、児童の家事労働に関する報告書「Ending child labour in domestic work and protecting young workers from abusive working conditions」を発表した。

それによると、全世界の18歳未満の家事労働者1,550万人(推計)のうち、5~14歳の幼い子ども650万人を含む1,050万人が児童労働者とされる。児童労働者は、年齢または労働条件の危険性などにより分類され、時には奴隷のような状態に追い込まれながら、他人の家庭の使用人として、掃除や料理、子守や高齢者の世話などの家事労働を行っているという。

また、児童労働者のうち7割が女の子で、家庭から引き離され、一般社会から孤立した結果、雇い主に依存する状況に陥り、虐待的な労働条件や肉体的、精神的、性的な暴力にさらされる場合があると指摘。中には、商業的性的搾取の被害を受けるケースも確認されている。

同報告書を作成した児童労働撤廃国際計画(IPEC)のコンスタンス・トーマス部長は、「多くの児童家事労働者の状況は子どもの権利の深刻な侵害であるだけでなく、多くの国家開発目標や国際開発目標の達成を阻む障害になっている」とし、家事労働における児童労働の明確な把握、防止、撤廃を目指すとともに、合法的に働ける年齢に達した青少年に対し、正当な労働条件を確保するような堅固な法的枠組みが必要だと主張している。

ただ、多くの国において、子どもの家事労働は雇い主の家族との関係が曖昧なため、児童労働と見なされていない。この家族による保護と法律による保護の間の「空白地帯」が、長時間労働や、時に危険で有害な労働条件を特徴とする搾取的な取り決めを偽装することになると批判。この問題の正確な規模を把握できるようなデータ収集や統計手段の改善を求めている。

併せて、就業の最低年齢に関するILOの第138号条約など関連条約の批准を政府に要請するとともに、国内・国際的に協調し、家事労働から児童労働をなくす共同活動に取り組むべきだとしている。

さらに、家事労働は特に女性にとって重要な就職口であるとし、家事労働における児童労働をなくす戦略の一環として、家事労働者にディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を確保することを求めるILOの第189号条約の促進も提言している。

なお、ILOは日本時間13日21:30~22:30(CET14:30~15:30)に、報告書の責任者を務めたIPECのホセ・マリア・ラミレス担当官が、ツイッターで質問に答えるオンライン・イベントを実施する。参加希望者は、#ILO2013のハッシュタグを用いて@ILONewsに投稿するよう呼びかけている。