中国人の妻と結婚して9年目になる著者が、日常生活を送る中で感じた、日中の文化の違いを紹介するコラム【中国人妻、あるある!】。前回は、「オタクを非常に高く評価する」ことを紹介した。今回は、「お年寄りを大切にする」ことを紹介したい。
私は2年前に一軒家を買ったが、家を買う際に最も心配だったのが、「近所付き合いをうまくやっていけるか」「隣の人が変人だったらどうしよう」など、人間関係に関連するものだった。そのため、今の家を下見に行って気に入った段階で、周囲の人に挨拶したりと、ずっと都市部に住んでいたためほとんどすることがなかった「近所付き合い」への準備を始めた。
だが、そんなぎこちない私をよそに、妻は着々と人間関係を築いていった。郊外の中古住宅を買ったため、周囲に住む人は比較的高齢の方が多いのだが、妻は私が仕事に行っている間に新しく住む家の掃除に行ったりして、そのたびに周囲の方々と世間話をしたりして、周囲の方々との距離を徐々に縮めていったのだった。入居後も、毎冬雪が降ると、自分の家の周りだけではなく、周りの家の除雪もやっていて、周囲から「ありがとう」と感謝されている。
また、妻は私の両親からの評判もいい。私の母は、一目で妻を気に入った。父も同様だった。両親はともに60歳をすぎているが、やはり、妻の素朴な人柄に好意を持ってくれたようだ。母に、「こんな子を泣かせるようなことをしたら最低だよ」とも言われた。さらに、妻が父の日、母の日、誕生日などに欠かさずに心のこもった贈り物をしてくれることも、大変効果を発揮している。
妻が近所の人たちや私の両親と仲良くなれた理由として、「高齢の方を大切にする」ことがまず考えられる。やはり儒教が生まれた国の出身だけあり、高齢者をいたわる姿勢が随所に伺える。それが相手にも伝わるのだろう、周囲の人たちも、自分が大切にされていることを感じ取り、外国人にもかかわらず、妻に心を開いていったようなのだ。
というわけで、両親を含め、大変よくしてもらっている。周囲の方々からは、野菜をいただいたり、カブトムシやおもちゃをいただいたり、それは私にではなく、妻にである。
正直、外国人である妻が古い住宅街で受け入れられるかも心配だったのだが、完全な杞憂であった。今は逆に、私のほうが受け入れられているかどうかのほうが心配なぐらいだ。
(イラスト : ミサイ彩生)