デジタルライフ推進協会(Digital Life Promotion Association : DLPA)は6月10日、同協会の設立から現在の経過報告と、新しいTV番組視聴スタイルに関する催し「DLPAリモートアクセスDay」を開催した。
DLPAは、独自の著作権保護が加えられている国内のデジタル放送視聴環境において、ユーザーの利便性向上を目指すネットワーク技術の開発と商品化を目的として、2010年2月に設立された一般社団法人。個々の家電メーカーが対応できない部分を、サードパーティが何とかしようという団体だ。正会員はアイ・オー・データ機器、メルコホールディングス(バッファローの持株会社)、デジオン、KDDIの4社で、のちに賛助会員としてエレコムが加わっている。
DLPAでは設立から3年間、「HDDに録画した番組データの救済」「DLPA NASガイドラインの策定」「ロゴマークの制定」「リモートアクセスガイドラインの策定」といった活動を行ってきた。順番に見ていこう。
普及が進んでいる現在の録画機能付きテレビは、テレビとHDDが1対1で結び付けられており、どちらかが故障した場合、録画データも失われてしまう。DLPAが行っている録画データ救済サービスは、この問題を解消するものだ。修理によってテレビ(チューナー)が交換された場合でも、同一メーカーのセットであれば、それまでに録画した番組を継続して視聴できる。2012年4月よりサービスを開始しており、2013年3月には録画データ救済サービスのガイドラインも策定された。
ただし2013年6月10日時点では、バッファロー製チューナーとバッファロー製HDD、あるいはアイ・オー・データ機器製チューナーとアイ・オー・データ機器製HDDの組み合わせに限られる。各テレビメーカーにも参加を呼びかけてはいるが、今のところ上記の組み合わせ以外は録画データ救済サービスの対象にならない。ユーザーの安心感や利便性を確実に高めるサービスなので、今後の進展が望まれる。
「DLPA NAS」は、簡単に言うとデジタルコンテンツのネットワーク配信に対応したストレージを指す。著作権保護への対応などで使用できる機能が異なるのだが、PCやネットワークに詳しいユーザーならまだしも、一般ユーザーにはどの製品がどのような機能を持っているのか分かりにくかった。
DLPAでは、写真や映像、音楽などをホームネットワーク内へ配信が可能なNASを「Level.1」、著作権保護されたコンテンツのホームネットワーク配信に対応したNASを「Level.2」、著作権保護されたコンテンツの移動にまで対応したNASを「Level.3」と定義。2012年2月より、会員メーカーのNAS製品には該当するロゴマークが付けられている。
リモートアクセスガイドラインは、外出先から自宅のNASにアクセスして、そこに保存されているコンテンツを視聴できるように定めたものだ(2013年1月に発表)。2013年5月7日より、このガイドラインに沿った製品に対して、ロゴの提供がスタートしている。
会場では、デジオンの製品企画部長 三阪英一氏によるリモートアクセスのデモも行われた。福岡、金沢、名古屋に置かれたNAS内のコンテンツを、ネットワークを経由して東京で再生。再生デバイスとしては、Windows 8搭載PCと、会場内のWi-Fi(無線LAN)ルータにWi-Fi接続したスマートフォンが使用された。コンテンツリストの取得には数秒ほどかかるが、再生自体はスムーズ。ホームネットワーク内のDLNAサーバー/プレーヤーと、ほぼ同じような感覚だった。