日本銀行は11日、金融政策決定会合を開催し、当面の金融市場調節方針を決定した。同会合では、資金供給量(マネタリーベース)を年間60兆~70兆円増やす金融政策「量的・質的金融緩和」の継続を、政策委員9人(総裁1人、副総裁2人、審議委員6人)の全員一致で決定した。一方、長期金利の上昇を抑制する対策は盛り込まなかった。
景気判断については、前月(5月)の「持ち直しつつある」から「持ち直している」に上方修正した。上方修正は6カ月連続。他方、先行きについては、前月までの「緩やかな回復経路に復していくと考えられる」に判断を据え置いた。
輸出については、海外経済が徐々に持ち直しに向かっていることから、前月の「下げ止まっている」から「持ち直している」に上方修正。設備投資は、非製造業が引き続き堅調に推移しているとしたものの、前月までの「全体としても下げ止まりつつある」に据え置いた。
公共投資は増加を続けており、住宅投資も「持ち直し傾向にある」と見ている。個人消費については、消費者マインドが改善するもとで、「引き続き底堅く推移している」と判断。これらの内外需要を反映して、鉄工業生産は、前月の「持ち直しに向かう動きが明確になりつつある」から「持ち直している」に上方修正した。
消費者物価(生鮮食品除く)については、「前年比は、前年のエネルギー関連や耐久消費財の動きの反動から、マイナスとなっている。予想物価上昇率については、上昇を示唆する指標がみられる」に表現を据え置いた。また、先行きについては、前月の「前年比は、当面、マイナス幅を縮小したあと、次第にプラスに転じていくとみられる」から「前年比は、次第にプラスに転じていくとみられる」に判断を進めた。
一方、リスク要因として、欧州債務問題の今後の展開、米国経済および新興国・資源国経済の成長力などを挙げ、「日本経済をめぐる不確実性は引き続き大きい」と分析している。
会合では、現行の資産買入れ方針の継続も決定。長期国債の保有残高が年間約50兆円に当たるペースで増加し、平均残存期間が7年程度となるよう買入れを続けるほか、ETFおよびJ-REITの保有残高が、それぞれ年間約1兆円、年間約300億円に相当するペースで増加するよう買入れを継続する。また、CP等、社債等については、2013年度末にそれぞれ2.2兆円、3.2兆円の残高まで買入れた後、その残高を維持するとした。