帝国データバンクは10日、「ガソリンスタンド経営業者の倒産、休廃業・解散動向調査」の結果を発表した。同調査は、2006年度~2012年度までの期間に、倒産(法的整理)または休廃業・解散により市場から消滅したガソリンスタンド経営者を集計、分析したもの。

それによると、2012年度のガソリンスタンド経営業者の倒産は47件で、前年度の56件から16.1%減少した。年度ごとの倒産件数を見ると、2006年度は28件、2007年度は51件、2008年度は65件、2009年度は58件、2010年度は49件となり、業者数は倒産の増減を繰り返しながら減少基調にあることがうかがえる。同社は「(ガソリンの)卸価格は高止まりの様相を呈しており、仕入価格上昇分を値段に転嫁できずに収益を悪化させている企業の増加が目立つ」と分析している。

2012年度の負債総額は前年度比23.7%増の138億5,900万円となり、6年連続で100億円を突破した。

休廃業・解散件数は前年度比7.9%増の205件で、4年ぶりに増加に転じた。内訳は、休廃業が152件、解散が53件。休廃業・解散件数を2012年度の倒産件数47件と比べた場合、約4倍の発生件数となった。なお、これらの業者の中には、債務整理の過程で法的整理に移行するケースもあることから、今後、倒産件数が増加する可能性もあると見ている。

2012年度に休廃業・解散したガソリンスタンド経営業者の代表者を年齢別に見ると、「70歳以上」が最も多く44.1%、次に「60歳以上」が34.4%となり、これらを合わせると60歳以上の年齢層が全体の78.5%に上った。長年ガソリンスタンドを営んできた経営者には、老朽化したタンクの改修費用が大きな負担となるため、廃業を選択するケースが増えていると推察される。

ガソリンスタンド経営業者の倒産、休廃業・解散動向

同社によると、ガソリンスタンド経営業者の中には、倒産は回避できたものの、先行きを見通せず休廃業を選択するケースが多く見られたという。要因として、仕入れ価格の上昇や、2012年10月に導入された環境税負担分を価格転嫁できず、企業の収益が悪化したこと、「危険物の規制に関する規則」の改正で、タンクの改修など設備投資が必要になったが、負担分の資金を捻出できない企業が多かったことなどが考えられる。また、車の利用者の減少や、エコカーの普及によるガソリン需要の減退なども影響したと見ている。

経済産業省資源エネルギー庁が2012年7月に発表した資料によると、2011年度末時点の全国の給油所数は3万7,743カ所で、ピーク時の1994年度末に比べて4割近く落ち込でいる。また、地域内にSS(サービスステーション)が3カ所以下の自治体が全国に257市町村あるという。同社は今後、このような「ガソリンスタンド過疎地域」が増加すると予想している。