米Appleが今月にもiPhoneの中古買い取りプログラムを開始する計画だという。ユーザーから古い端末を買い取ることで新製品の購入資金の一部としてもらうもので、最終的に新型iPhoneの販売促進を目的としている。米Bloombergが6月6日(現地時間)に報じている。
同件はBloombergが関係者の話として報じたもので、iPhoneの旧モデルをApple側が買い取り、iPhone 5等の新製品購入へとユーザーを促すことを狙いとする。今回の施策にあたりAppleは携帯電話ディストリビューターであるBrightstarとの提携を行っており、こうしたiPhone交換プログラムを提供していくという。Brightstarは今回のAppleとの提携とは関係なしに、すでにAT&TやT-Mobileに対して同種のサービスを提供しており、これをApple公式で展開していく形となりそうだ。
米国では携帯キャリアのオンライン通販サイトを眺めていると、「Pre-owned」や「Refurbished」といった表記のある通常より安価な製品が並んでいることに気付く。これはいわゆる中古の整備品で、通常であれば100~200ドルの価格のついている新品iPhoneに対し、50~100ドルほど安い値札がついており、安価な製品を求めるユーザーのニーズに応えている。だが今回Brightstarが展開するサービスは中古品を同じ市場へと流すよりも、安価な旧モデルiPhoneの人気が高い新興市場へと商品を流通させることが主眼にあるようだ。比較的新しい中古品を新興国市場へと流しつつ、先進国のユーザーにはなるべく最新製品の購入を促し、ビジネスを維持するという形だ。似たようなサービスは日本ではソフトバンクが大々的に行っており、Apple本体がこうしたサービスを公式で提供することを意味する。
従来まで、Apple自身は中古買い取りプログラムに対してほとんど関心を示していなかったが、ライバルのSamsungが新興国市場でのプレゼンスを非常に大きくしていること、そして昨今のAppleの売上増加率の鈍化により、新製品販売へのテコ入れとライバルとの競合において必要な要素の1つとして認識し始めたというのがBloombergの分析だ。実際、AT&Tは旧モデルのiPhone 4や4Sの買い取りに200ドル程度の金額を提示しており、これを使えば新型のiPhone 5を2年縛りつきの本体価格無料で入手できる。また米国や日本などの地域を除いて新型iPhoneに対する購入意欲はそれほど高くないという理由もあり、今後米国以外の地域でも何らかの対策を講じる可能性もある。