映画『はじまりのみち』の初日舞台あいさつが1日、東京・中央区の東劇で行なわれ、キャストの加瀬亮、田中裕子、ユースケ・サンタマリア、濱田岳、斉木しげると原恵一監督が出席した。
映画監督・木下惠介の生誕100年記念映画として製作された同作は、木下監督の若き日の実話を、アニメ映画『クレヨンしんちゃん』シリーズなどを手掛けた原監督が実写映画初監督を務めた作品。戦中、軍部に睨まれ松竹に辞表を提出した木下惠介(加瀬)は、兄・敏三(ユースケ)と便利屋(濱田)と共に、脳溢血で倒れて浜松で療養中の母・たま(田中)をリヤカーに乗せて山間へ疎開する――という母と息子の絆を描く内容で、映画は全国公開中。
主演の加瀬は「この映画が広がって、木下監督の作品を観て頂くきっかけになったら。新旧の映画の発展を祈りたい」とあいさつし、木下監督と同郷の斉木は「濱田くんの遠州弁が本当に上手くて天才! 加瀬くんの着流し姿も、木下監督が出てきたと思うくらい格好良かった」とキャスト2人を大絶賛。イベントでは、木下監督の日本初カラー映画『カルメン故郷に帰る』(1951年)が同劇場で初上映されたことにちなみ、鏡割りと献杯をした原監督は「想像を超える良い作品が出来た。素晴らしい出演者のみなさんに出会えて本当に良かった。木下監督に頂いた仕事だと思ってる」と感激していた。
撮影中は寒さに対する苦労もあったようで、ユースケが「ホカロンを20個くらい貼ってて、足元にホカロンが転がっちゃった時もあった。斉木さんなんて浴衣1枚でした」とエピソードを明かすと、田中は「私は病気だったから、布団を用意してもらってラッキーでした」と笑顔で話し、濱田も「僕はちゃっかり者の役だったから、長靴を履いて防寒対策もしてて汗ばむくらいだった。でも、先輩方が凍えてたので『寒いっすね』ってウソをついてました」と暴露。また、ユースケが「撮影が終わった時は、みんなで体のどこかに“みち”っていうタトゥーを入れようって。濱田くんはスヌーピーが良いって言い出すし……。加瀬くんが言い出したんだっけ?」とフザけると、加瀬は「言ってないし!」と苦笑いで突っ込み、観客の笑いを誘っていた。