あるときはアメリカ海軍の艦上戦闘機・F-14のパイロットを演じ、またあるときはCIA工作官を演じ、そのたびに高い評価を得てきたハリウッド俳優 トム・クルーズ。そんな彼の最新作『オブリビオン』が今週末公開される。今回彼が演じるのは、エイリアンとの戦いにより、人が住めなくなってしまった地球の監視人。同作のテーマは"故郷"だと語るトム・クルーズにSF映画『オブリビオン』の魅力を聞いた。
――まず、今回演じたジャックという役柄について教えて下さい。
ジャックは未来の世界の肉体労働者で、仕事はドローン(地球を縦横無尽に飛び回り監視する無人偵察機)の修理、警備の仕事も兼ねている。資源を集めるプラントの安全を守っているんだよ。集められた地球の海水は土星の衛星"タイタン"の植民に有効利用される。ジャックのパートナーであるヴィカはタワーでの通信を担当し、ジャックは地上で"スカヴ"を警戒しながらドローンを修理する。スカヴは地球に侵攻してきたエイリアンなんだ。
――ジャックにとって"地球"はどんな存在なのでしょうか?
本作のテーマは"故郷"。ジャックにとって地球は故郷だよ。だから、ジャックは地球を去るべきか迷っているが、ヴィカはタイタンに移住したくてうずうずしている。任務を終え、次の一歩を踏み出したくてね。
――なぜジャックは地球に執着を?
ジャックはこの場所に時折懐かしさを覚える。例えば"NY"のロゴ入りの帽子とかにね。エンパイア・ステート・ビルにもノスタルジーを感じている。でも、なぜかは分からない。そこが謎を呼ぶ要素であり、本作を盛り上げる要素なんだよ。彼はなぜ懐かしさを覚えるのか知りたがっている。自分の置かれた状況を理解したいんだ。でも、答えが見つからず、ストレスを感じている。ドローンや資源のことは分かっているから、余計に答えを知りたくなってくるんだ。
――ジョセフ・コシンスキー監督がつくり上げた、この作品の舞台については、どのようにお考えですか?
監督のジョセフは優れたフィルムメーカーだね。登場人物は少ないけど、"世界の危機"がテーマだから舞台のスケールはもの凄く壮大なものに仕上がっているよ。
――墜落した宇宙船で眠っていたジュリアというキャラクターについて教えて下さい。
ジュリアはジャックの前に突然現れた謎の女性だ。ある時ジャックが作業をする区域に宇宙船が墜落し、そこには彼の夢に登場する女性がいた。最初は拒絶しようとするが、ジャックはどうしても"夢の女性"に惹きつけられてしまうんだ。
――この作品にも多くのアクションシーンが含まれているわけですが、ご自身で演じられたのですか?
スタントは自分でやったよ。自分の子供の頃を振り返ると、映画が大好きで、バスター・キートンとかハロルド・ロイドやチャールズ・チャップリンなんかの映画を見て育ったんだ。僕の場合、身体を動かすことで役に入り込めるんだよ。自身でスタントをこなせば顔も撮れるから、アングルや撮影の幅が広がる。そうすることによって、人物やストーリーもより緻密に描くことが可能になる。理由もなくスタントをやっているわけではなく、物語を効果的に伝えるためにそうしているんだ。どうやって観客を映画の世界に引き込むかということを考えてるよ。
――撮影はアイスランドで行われたそうですね。
初めて行ったけど、アイスランドは素晴らしい国だね。美しさが心に焼きついたよ。僕らが撮影を行ったのは、一日中、日が沈まない時期だったんだ。土地の広がりというかスケールが違ったね。ジョセフのカメラワークもあって、永遠に続くかのような景色が撮れたよ。本作の舞台は60年後の米国東海岸だ。未来の風景が美しい映像で表現されてると思うね。
映画『オブリビオン』は、5月31日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国公開。
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