Bluetooth SIGのグローバルマーケティングディレクターであるエレット・クローター氏

Bluetoothの規格推進団体Bluetooth SIG(Special Interest Group)は5月28日、「Bluetooth Smart」に関する説明会を開催。Bluetooth端末の現状と、Androidの対応について解説した。今後、Androidが標準でBluetooth Low Energy(BLE)に対応することで、Bluetooth対応製品のさらなる拡大が期待されている。

近距離無線通信規格のBluetoothは、スマートフォンの普及などにともない利用が拡大している。2013年だけでBluetooth対応デバイスは25億にのぼり、1999年以降の累計では100億デバイスを突破しているという。2018年には累計310億デバイスが登場すると予測されているほか、Bluetooth SIG参加ベンダーも、1998年の設立時の5社から18,000社まで拡大。年内にも2万社を突破する見込みだ。

Bluetooth SIGのメンバー企業の推移と対応端末

ちなみに、アジア市場でBluetooth対応製品が拡大しており、日本企業の参加も多い

当初、Bluetoothは音楽を含めた音声利用がほとんどだった、とBluetooth SIGのグローバルマーケティングディレクターであるエレット・クローター氏は言う。現在でも、BluetoothスピーカーやBluetoothヘッドセットなどのオーディオ製品が大きな位置を占めているが、「今まで思いもよらなかった使われ方がされている」とクローター氏は語る。

Bluetoothのオーディオ製品は2010~12年の間に451%という大幅な増加

2013年には25億デバイスの登場が予想。さらなる成長が見込まれている

例えばBluetoothを内蔵した歯ブラシは、磨いた回数や強さなどを記録し、子どもの歯磨きを管理することができる。またWebサービスと連携することで、歯医者の診療時に歯磨き記録をあらかじめ送っておく、といったこともできるという。

Bluetooth内蔵歯ブラシ(左)やサッカーボールのように、センサー機器の通信機能としてBluetoothが活用されている

ほかにも、歩数計、心拍計といったヘルスケア分野でも利用され始めており、スマートフォンやタブレットを経由してクラウドサービスで情報を同期する連携サービスが生まれている。Bluetooth SIGでは、さまざまな業界団体と連携し、相互運用性を確保しながらこうしたサービスでの活用を推進していきたい考え。

これらの用途を実現するために、最新のBluetooth 4.0ではLow Energy(BLE)技術が導入されている。BLEでは、より小さなデータの通信に利用され、必要なとき以外は通信を行わないことで省電力化を図っており、「消費電力は1/10ぐらいにはなる」(クローター氏)という。歩数計や心拍計などのセンサーのように、小さなデータのやりとりを行う、BLE対応機器を「Bluetooth Smart」端末と呼ぶ。

従来のBluetooth機器や低消費電力のBLE端末がスマートフォンやタブレットを経由してクラウドサービスと連携する。この図では、「センサー」の上3つのBLE対応デバイスが「Bluetooth Smart」となる

こうしたBluetooth Smart端末(「アクセサリ」)のデータを受信する、スマートフォンやタブレットなどの機器を「Bluetooth Smart Ready」端末と呼ぶ。BLE対応チップと、と、従来のBluetooth(レガシー)と同じ動作をするチップという、デュアルチップを搭載していることが条件だ。