俳優の佐藤健と黒沢清監督が28日、東京・千代田区の日本特派員協会で行われた、映画『リアル~完全なる首長竜の日~』の記者会見に出席した。

左から、佐藤健、黒沢清監督

映画『リアル~完全なる首長竜の日~』は、第9回『このミステリーがすごい!』で大賞を受賞した乾緑郎の小説(宝島社刊)を、国際的にも知られる黒沢監督が実写化したミステリー作品。自殺未遂後に昏睡状態となった恋人・淳美(綾瀬はるか)を救うため、主人公の浩市(佐藤)は、最新医療の“センシング”で淳美の脳内に入る。淳美の意識の中を彷徨う浩市は、やがて衝撃の真実に辿り着く――という仮想と現実が交錯するストーリーで、映画は6月1日から全国公開予定。

会見には、日本に駐在する約100人の外国人特派員が集まり、「本当に演じることが難しかった。演じていたのは浩市の“意識”なので、『何をしても正解なんだ』と思った時に、何を選択して良いのか迷いました」と撮影を振り返った佐藤は、流暢な英語のあいさつを披露。一方、特派員からの質問攻めにあった黒沢監督は「楽しく観てくれてありがとう。期待してたものと違ったと言われるとうれしい」とあいさつし、「原作の内容を70%くらい変えちゃったかな。作者に『映画だから変えてもらって構わない』と言われたので、助かりました」と打ち明けた。

また、8月7日~17日にスイス南部で開催される『第66回ロカルノ国際映画祭』の国際コンペティション部門に同作が出品されることが発表され、祝福の拍手を送られた黒沢監督は「海外の方が観たらどう思うか興味がある。今日の質問を良い材料にして、ロカルノに臨みたい」と意気込みを。今月15日から26日まで開催された『第66回カンヌ国際映画祭』で、是枝裕和監督の映画『そして父になる』が審査員賞を受賞したことを受け、同映画の主演で所属事務所先輩の福山雅治を「カンヌで先輩の福山さんが賞をとって、日本人としてとてもうれしい」と祝福した佐藤は、「後に続けじゃないですけど、キャストやスタッフのために、この作品も結果を残せたら」と意気揚々としていた。