Foxconn (富士康)ブランドで知られる台湾Hon Hai Precision Industry (鴻海精密工業)が、さらなる顧客ベース拡大と独自ブランド樹立に向けた動きを加速している。同社の最も有名な顧客はAppleで、鴻海はそのiPhoneとiPad製造を一手に請け負うことで急成長を成し遂げたが、一方で過大なApple依存は同社の成長に急ブレーキをかける一因ともなっており、特定顧客に依存しない提携先の模索と販路拡大を目指しつつあるという。
同件はWall Street Journalが報じている。現在鴻海では売上の詳細を公開していないが、WSJによればあるアナリストの予測で同社売上の5割以上がAppleによるものだと分析している。実際、同社の成長率はほぼApple製品の売上と連動しており、初代iPadがリリースされた2010年の鴻海の売上成長率は53%だったが、その翌年は13%の小幅に収まっている。昨今、フルサイズiPadの売上停滞とiPhone 5に関する出荷予測の鈍化は、同社の将来を占ううえで非常に大きな意味を持つだろう。
海外著名ブランドらのハードウェア製品の開発製造を請け負う鴻海にとって、同社の成長とは受注拡大と、それによる製造能力拡大を意味している。Apple依存での成長が見込めなくなりつつあるいま、今後幅広い顧客ベースの拡大で横展開を目指していく意向だ。実際、既存のHPやシャープといった大手顧客に加え、中国国内メーカー向けの大画面液晶TVやスマートフォン製造などにも着手しており、地産地消を実現しつつある。また独自のメディアコンテンツやソフトウェアへの投資のほか、独自ブランドでの家電アクセサリ販売にも進出しており、Appleといった特定1社に依存しない収益体制樹立に向けて舵を切っている。