これがギネスブック認定の岐阜山中の巨大狛犬だ

狛犬(こまいぬ)の起源は古代インド。仏の両脇に守護ライオンを描いたのが最初だという。それがシルクロードを渡り仏教とともに日本に渡来した。普通狛犬は、1mもあれば大きい方。しかし、岐阜県の山奥には、規格外な巨大狛犬が存在しているという。しかもギネス認定までされているというのだ! まずは現地へ行ってみよう。

瑞浪市は古くから焼き物の町として有名なエリア

焼き物の街に舞い降りた1億円

行き先は、岐阜県瑞浪市陶町(すえちょう)にある八王子神社。名古屋からだと高速伝いに約1時間である。「陶町」という地名が示すとおり、瑞浪市は古くから陶磁器産業が盛んな地域だ。

平成元年、当時の竹下登首相(DAIGOの祖父)が行った「ふるさと創生事業」により、全国の市町村に一律に1億円が交付された。この予算をどう使うのか考えた結果、いくつか執り行ったプロジェクトのひとつがこの巨大狛犬である。

折しも瑞浪市制35周年記念というアニバーサリー的要素も重なり、プロジェクトは始動したという。

狛犬が生息する八王子神社に到着すると、そこはトラックが行き来する国道419号線沿いにあった。石造りの鳥居の脇に、狛犬のある場所に通じる道がある。そもそも狛犬ってのは、神社の両脇にあるもんじゃないのか、という素朴な疑問はさておき。そこに鎮座していたのは、まごうことなき巨大狛犬であった!

国道沿いにいきなり現れる狛犬! これにはビックリ!

煙突にはドラム缶を9本使用

材質は木でも石でもなく「焼き物」。つまり、当地名産の「美濃焼」である。さすが陶磁器産業が盛んなことだけはある。脇には当時の作業風景が写真とともに紹介されている。興味深いので、それを書き起こしてみよう。

作り方は、まず型となる等身大の大きな狛犬を作り、その上から巨大な窯を作ったそうだ。煙突はドラム缶を9本つなぎ、松の割木約5,000本を燃料として、地域の住民たちの手で12日間(約273時間)焼き続けたという。窯が取り壊され、狛犬が神々しい姿を現した時は、さぞかし大きな歓声が沸いたことだろう。

出来上がった狛犬は、阿形像と吽形像が並び立ち、高さ約3.3m、幅約1.5mの堂々とした体躯(たいく)がダイナミック。重さは1対で15トンもあるそうだ。一見「狛犬というよりは、シーサーみたいな顔しているなぁ」と思ったのだが、実はこの狛犬、市の文化財に指定されている大川窯四代目・羽柴与左衛門景度の美濃焼狛犬がモデルだという。

重さは1対で15トンもあるという。近づくとなかなか可愛らしい顔立ちだ

この狛犬を作ることで、「地域みんなで力を合わせて作った」という思い出も生まれたと言っても過言ではないだろう。ちなみに、すぐ近くにはギネス認定の世界一の茶つぼ「豊穣の壺」もある。こちらも是非鑑賞していただきたい!

狛犬エリアの近くには、これまたギネス認定の「豊穣の壷」がある

国道419号線の起点に立ち、交通安全と美濃焼の発展を祈っているらしい狛犬。威風堂々としたその姿で、これからも無事故で無病息災、また商売繁盛の守り神として君臨していただきたいものである。

●Information
岐阜県瑞浪市陶町大川地内(狛犬のいる場所)