米Googleが途上国向けの携帯電話ネットワーク構築を計画しているという。アフリカや東南アジアなど、有線ネットワーク網の整備された主要都市以外のエリアを無線網で積極的にカバーすることで、インターネット世界から隔離された状態にある全人口の残り数十億のユーザーをターゲットにすることが狙いだという。
同件はWall Street Journalが関係者の話として5月24日(米国時間)に報じたもの。こうした途上国の主要都市以外のエリアは広大で採算性も難しいため、もともと携帯電話の利用が逆に発達していたという事情がある。こうした地域でのインフラ整備にむけてGoogleは過去にWiMAX技術に投資していたことがあったが、そうした計画の延長とみられる。Googleはネットワーク機器メーカーや地元の携帯キャリアらとの連携でインフラを整備し、将来的にそれらメーカーやサービス事業者が採算をとれるためのビジネスモデルを支援していく意向だという。なお、現時点でこうした協業がスタートしているかは不明とのこと。
インフラ整備にあたってはWiMAXや既存の携帯通信技術で用いられている主にブロードバンド利用を想定した高周波数帯よりも、TV放送等で用いられる低い周波数帯を用いた通信を想定しているようだ。これら周波数帯はもともと携帯ネットワークでの利用を想定していないため、帯域が開放されていないケースが多いが、南アフリカやケニアなど一部地域ではすでにルール緩和に向けた動きを見せており、Googleはこれら政府関係者との交渉で通信利用に向けて動き始めている。WSJによれば、関係者らの話として今後数年でこうした動きが活発化すると考えられている。また地上波の通信網だけでなく、衛星通信も使った仕組みもGoogleは検討しているという話もある。
Googleが米国の一部都市で光ファイバの実験ネットワークを構築し、ブロードバンド網の整備やそれに紐付いたサービス開発を進めていることはすでに知られているが、今回の途上国での動きは企業貢献の意図と同時に、インターネットの恩恵を受けていない潜在的なユーザーを先んじて取り込んでいく狙いがあると思われる。まだ少し先の話とはいえ、将来に向けた種蒔きはすでに始まっている。
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