さて、それでは実際の評価環境を御紹介する。今回試用したのはAMDによるKabiniの評価用ノート(Photo38)。

Photo38:サイズはW338mm×D245mm×H20mm、重量は1,748g(いずれも実測値)。もっとも厚みのほうは、一番厚いバッテリー部で、また底面にゴム足もあるので、純粋な本体の厚みは(ディスプレイ込みで)17mmほど。液晶は1920×1080pixel

フロントにはMMC/SDカードとLED×4のみが設けられている(Photo39)。左側面にはUSB 3.0/VGA/Mini DisplayPortとDC In/LAN、それに排気口が設けられ(Photo40)、右側面はUSB 2.0×2とMic/Audio端子、それに薄型DVD-RWドライブが搭載される(Photo41)。

Photo39:このあたりは微妙に絞り込んであるので、手に持った感触は20mmよりずっと薄く感じる。評価機とはいえ、OEM向けのサンプルでもあることからか、このあたりはちゃんと作られている印象

Photo40:LANは最近Ultrabookなどに採用例の多い、カバーを下に押し下げてRJ45コネクタを装着するタイプ。ただロックが甘いのか、下から抑えないと簡単に抜けてしまう。ちなみにMini Display Portには"HDMI"のロゴがあって混乱しかねない。こちらのUSB 3.0ポートは充電対応

Photo41:こちらはUSB 2.0端子のみ

裏面は大きなカバーで覆われているが(Photo42)、これを開けるとHDDやMemory、APUなどに簡単にアクセスできる(Photo43)。

Photo42:左上がDVD-RWドライブの格納場所

Photo43:最近のUltrabookもこのくらいメンテが簡単だったら……ちなみに先ほどPhoto30でパッケージを26mm角としたのは、ここで実物(銅のヒートパイプの下)のサイズを確認したからである

メモリはHynixのDDR3L-1600 4GBのSO-DIMMが(Photo44)、HDDには東芝の1TB HDDが搭載されていた(Photo45)。

Photo44:Photo43でDIMMスロットそのものは2つあるが、Kabiniはメモリが1chなので、2枚刺しても単に容量が増えるだけで帯域は増えない

Photo45:正確にはNAND Flash搭載のHybrid DriveであるMQ01ABD100H

またバッテリーは15V/3000mAhのものが搭載されていた(Photo46)。

Photo46:このバッテリーの重量が238g(実測値)。なのでバッテリーやDVD-RW、HDDなどを抜いた純粋に本体の重量は1.5Kgを切って1.4Kg程度に収まる。液晶の大きさを考えると、かなり軽い方に入ると思う

CPU-Zにおける表示はこんな具合(Photo47~51)。CPU-Zが未対応な事もあってか、表示されない項目が結構多い。

Photo47:まだKabiniには未対応な様で表示されていない項目は多い。搭載されているのはA4-5000ということで、4コアがちゃんと認識された

Photo48:L1 32KB/L2 2MBと認識

Photo49:マザーボードはAMD製のLarneと表示された。チップセットがA55/A60と表示されるのは、そういうPCIのIDを返しているためと思われる

Photo50:DIMMは正しく認識されており、800MHzでCL11として動作する模様。電圧は1.28Vとされた

Photo51:GPUコアはRADEON HD 8330とだけ表示されて終わり

これはGPU-Zでも同じ(Photo52)であった。

Photo52:とりあえずRADEON HD 8330という製品名だけは確認できる

RMMAでの表示も似たようなものであった(Photo53~55)。

Photo53:AVXが表示されないのは、RMMAがAVXに未対応だから

Photo54:L1/L2に関する情報はPhoto48と一致した

Photo55:Bobcatのものと比較すると、L1 I-TLBのEntryの表記が変わっている(前はFeatured Entriesが取れていなかっただけ?)とか、L2 D-TLBでLP Entriesが追加されたといった差は見られる

Windows 7でのシステム情報はこんな感じ(Photo56)、Windows Experience Indexはこんな具合だった(Photo57)。

Photo56:とりあえずCPUは正しく認識されている

Photo57プライマリハードディスクが7.9なのは後述の様にSSDに換装しているため。Zacateと比較するとプロセッサが3.9→5.0、グラフィクスが4.7→4.8、ゲーム用グラフィクスが5.9→6.2にそれぞれ向上している

ベンチマーク環境

さて、それでは今回の環境を説明したい。KabiniことA4-5000については、AMDの評価機をそのまま利用してテストを行った。ただこちらにPre-installされていたWindows 8はHDDごと外し、代わりにIntel SSD520を搭載してWindows 7をインストールしなおしている。

この理由は、RMMAを実施している際に、バックグラウンドでWindows 8のModern UIが動いていると、これによるデータの揺らぎが無視できない誤差になるためだ(これは別環境で一度試して確認している)。

比較対象としては、ASUSTeKのE45M1-M PROを用意した。こちらは1.65GHz駆動のAMD E-450を搭載する製品である。

こちらもオンボードビデオで使えばほぼ条件は同じになる。厳密に言えばCPUコアの動作周波数はやや高いが、それは後で換算すれば済む話だ(A4-5000に比べてちょうど10%高い、というのも計算が楽で良いという事情もある)。その他の環境は表1に示す通りである。

■表1
APU AMD A4-5000 AMD E-450
M/B Kabini Reference ASUSTeK E45M1-M PRO
BIOS BIOS 1.06/CCB 03.73.10 BIOS 1202
Driver 13.101 Beta3 May-10-2013 Chipset Driver V5.12.0.13
Driver 13.101 Beta3 May-10-2013 Graphics Driver V8.863.0.0
Memory Hynix DDR3L-1600 4GB Century DDR3-1600 4GB
HDD Intel SSD520 120GB
OS Windows 7 Ultimate+SP1 64bit 日本語版

ベンチマーク結果

では順に説明してゆきたいと思う。ちなみにグラフ中の表記は

  • Zacate:AMD E-450+ASUSTeK E45M1-M PRO
  • Kabini:AMD A4-5000+Kabini評価機

となっている。

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