帝国データバンク(以下、TDB)は23日、「輸入企業」の実態調査の結果を発表した。それによると、海外との間で輸入取引を行っている企業のうち、年商「1億円未満」の零細企業の約4割が赤字であることがわかった。

同調査は、2013年4月時点の企業概要データベース「COSMOS2」(143万社収録)を基に、直接、間接を含め輸入取引のある企業について、業種別、年商規模別、損益状況、都道府県別に集計した。

海外との間で輸入取引を行っている企業は7万1,529社(うち、輸入と輸出の両方を行っている企業は1万7,001社)で、輸出企業(約3万3,000社)の2倍以上に上る。都道府県別では、東京都が最多で2万3,948社。以下、大阪府が1万294社、愛知県が4,159社、神奈川県が3,574社、兵庫県が2,717社と続いた。

業種別に見た場合、最も多かったのは「卸売業」の49.8%で全体のほぼ半数を占めた。次いで、「製造業」が24.0%、「小売業」が13.3%、「サービス業」が7.6%、「建設業」が2.9%、「運輸・通信業」が1.1%となった。

年商規模別では、「1~10億円未満」が過半数の50.1%。以下、「10~50億円未満」が20.8%、「1億円未満」が17.9%、「100~500億円未満」が4.9%、「50~100億円未満」が4.4%と続いた。

直近決算の当期純損益が判明した4万6,848社について、年商規模別の損益状況を見ると、「1億円未満」の零細規模事業者の赤字比率が37.8%で最も高く、輸入企業全体の平均20.1%を大きく上回っていることが判明。TDBは「総じて年商規模が小さくなるにつれて赤字比率が高まっており、急速な円安による小規模企業への影響が懸念される」と分析している。

年商規模別の損益状況

業種細分類別(上位10業種)の赤字企業比率を調べると、「婦人・子ども服卸」が23.5%、「婦人・子ども服小売」が23.1%、「衣服身辺雑貨卸」が22.6%と、アパレル関連が上位を占めた。以下、「生鮮魚介卸」が22.3%、「精密機械器具卸」が19.7%と続いた。全業種平均は20.1%。

都道府県別赤字企業比率のトップは宮城県の34.2%。次いで、福島県の31.2%、山梨県の29.6%、青森県の28.4%、群馬県の26.2%となった。

また、1円の円安ドル高が日本にどの程度の経済波及効果をもたらすか調べたところ、国内全体の経済効果は8,604億円となった。しかし、海外取引形態別に見ると、「輸入」のみの企業による経済効果はマイナス325億円、「輸出」のみの企業による経済効果は1,087億円、「輸入」と「輸出」の両方を行っている企業による経済効果は7,843億と、取引形態により大きな差が開く結果となった。

中小企業は大企業と比べて価格転嫁が難しいことから、TDBは「負担増に耐えきれずに行き詰まる『円安倒産』が今後相次ぐ可能性は十分ある」と指摘している。