マカフィーは、2013年4月のサイバー脅威の状況を発表した。これは、マカフィーのデータセンターが捕捉したウイルスなどの集計をもとに、各項目ごとのトップ10を算出したものだ。

ウイルス

4月も脆弱性を悪用したドライブバイダウンロード攻撃に関連したウイルスが多数ランクインしている。改めてであるが、その流れを確認すると以下のようになる。

  1. なんらかの方法で、正規Webサイトを改ざんする
  2. ユーザーが改ざんされたWebサイトを閲覧
  3. 不正なWebサイトへ誘導される(リダイレクト)
  4. 脆弱性を悪用し、ユーザーのPCにウイルスをダウンロード
  5. さらに、トロイの木馬などのウイルスをダウンロード
  6. PC内の個人情報などが流出

3番目のリダイレクトに使われるのが、不正なHTMLやJavascriptである。4番目で、一度ウイルスに感染してしまうと、次々にウイルスがダウンロードされることも少なくない。今月のランキングをこれにあてはめてみよう。

検知会社数ランクの4位、6位、10位はExploit-StyKitで、これはStylx Exploit Kitと呼ばれる不正なJavascriptである。この流れでいえば、3番に該当するものである。8位のJS/Exploit-Blacoleは、Blackholeのリダイレクトである。さらに、1位のJS/Redirector、2位のJS/IFrame、9位のJS/Exploitなども不正なリダイレクトを行うJavaScriptである。最近では、攻撃手口によってこれらのスクリプトが使い分けられる。こうして、ユーザーが不正なWebサイトに誘導されると、Adobe Reader、Flash Player、JRE(Java Runtime Environment)などの脆弱性を悪用し(4番に該当する)、最終的に様々なトロイの木馬に感染してしまう(5番に該当する)。検知会社数7位にランクインしているFakeAlert-WinWebSecは、ドライブバイダウンロード攻撃で感染するトロイの木馬の1つである。これは、日本に限ったことではなく、世界的にも同様な脅威が見られるとのことだ。

McAfee Labs東京主任研究員の本城信輔氏は「このような攻撃を防ぐためにはInternet Explorer、Adobe Reader、Flash Player、JREなどのアプリケーションを常に最新の状態にしておくことが大切です。特にJavaに関連した脆弱性は、実際の攻撃に悪用されているものだけに限ってもほぼ毎月のペースで新たなものが発見されています。実際、最近になってInternet Explorerの脆弱性CVE-2013-1347およびJREの脆弱性CVE-2013-2423が発見され、実際の攻撃に悪用されており、十分な警戒が必要です」と対策を紹介し、注意喚起している。

表1 2013年4月のウイルストップ10(検知会社数)

順位 ウイルス 件数
1位 JS/Redirector.ar 2,303
2位 JS/Iframe.gen.k 1,391
3位 Generic!atr 793
4位 JS/Exploit-Stykit.c 447
5位 W32/Conficker.worm!inf 443
6位 JS/Exploit-Stykit.a 427
7位 FakeAlert-WinWebSec!env.h 334
8位 JS/Exploit-Blacole.ld 303
9位 JS/Exploit.gen.b 301
10位 JS/Exploit-Stykit.d 249

表2 2013年4月のウイルストップ10(検知データ数)

順位 ウイルス 件数
1位 W32/Conficker.worm!job 87,577
2位 JS/Iframe.gen.k 13,371
3位 JS/Redirector.ar 9,999
4位 W32/Ramnit.a!htm 9,014
5位 X97M/Laroux.a.gen 6,713
6位 Generic!atr 4,995
7位 W32/Conficker.worm 3,967
8位 W32/Conficker.worm!inf 3,049
9位 W32/Conficker.worm.gen.a 2,932
10位 X97M/Laroux.e.gen 2693

表3 2013年4月のウイルストップ10(検知マシン数)

順位 ウイルス 件数
1位 JS/Redirector.ar 4,320
2位 JS/Iframe.gen.k 2,574
3位 Generic!atr 1,501
4位 W32/Conficker.worm!inf 937
5位 W32/Conficker.worm!job 588
6位 JS/Exploit-Stykit.c 510
7位 JS/Exploit-Stykit.a 491
8位 FakeAlert-WinWebSec!env.h 409
9位 JS/Exploit-Blacole.gg 396
10位 JS/Exploit-Blacole.ld 355

PUP

PUP(不審なプログラム)は、検知データ数で先月2位のMetasploitがランク外となった。そのほかのランキングには大きな変化は見られない。フリーウェアの利用に、引き続き注意したい。

表4 2013年4月の不審なプログラムトップ10(検知会社数)

順位 PUP 件数
1位 Generic PUP.x 309
2位 Generic PUP.x!bjg 296
3位 Adware-OptServe 184
4位 Tool-PassView 157
5位 Adware-Adon 155
6位 Adware-UCMore 136
7位 Generic PUP.d 118
8位 Generic PUP.z 104
9位 Obfuscated-FAS!hb 86
10位 Exploit-MIME.gen.c 83

表5 2013年4月の不審なプログラムトップ10(検知データ数)

順位 PUP 件数
1位 Generic PUP.x!bjg 37,137
2位 RemAdm-VNC 10,244
3位 Exploit-MIME.gen.c 7,797
4位 Adware-OptServe 7,417
5位 Generic PUP.x 6,423
6位 Generic PUP.d 4,883
7位 Tool-PassView 4,078
8位 Generic PUP.z 3,664
9位 Adware-OpenCandy.dll 3,228
10位 Spyware-eBlaster 2,047

表6 2013年4月の不審なプログラムトップ10(検知マシン数)

順位 PUP 件数
1位 Generic PUP.x!bjg 544
2位 Generic PUP.x 408
3位 Tool-PassView 277
4位 Adware-OptServe 220
5位 Adware-UCMore 214
6位 Adware-Adon 202
7位 Tool-ProduKey 144
8位 Generic PUP.d/td> 132
9位 Generic PUP.z 123
10位 Exploit-MIME.gen.c 107