実際の通信速度をベンチマークで検証
続いて、AtermWG1400HP/AtermWG1800HPの実効通信速度のベンチマーク結果を紹介しよう。検証に利用した2台のPCはドラフト11acに対応していないため、下記の図のようにイーサネットコンバータを利用して接続している。
PC(1) : エプソンダイレクト Endeavor NJ5500E
CPU:Core i7-2670QM(2.2GHz)、メモリ:8GB、ストレージ:256GB HDD(5,400rpm)、OS:Windows 8 Pro 64bit(Windows7からアップグレード)
PC(2) : デル XPS 13
CPU:Intel Core i5-3337U(1.8GHz)、メモリ:8GB、ストレージ:256GB SSD、OS:Windows 8 64bit、USB3.0対応Gigabit Ethernetアダプタ(玄人志向 GbE-USB3.0)
測定場所は鉄筋のマンション内で、親機と子機の距離を1.5m(同じ部屋内)、5m(同じ部屋内)、10m(隣の部屋)程度に離してテストを行なった。通信速度の計測に利用したソフトはネットワークのTCP速度を計測する「JPerf 2.0」で、10回ずつテストを行なった際の最高値を採用している。参考までに、有線LAN接続の速度とXPS 13の内蔵無線LAN機能(11n、5GHz)で接続した場合の速度も掲載した。
AtermWG1800HPで511Mbps、AtermWG1400HPで479Mbpsが最高速度という結果となった。理論上の最大速度には及ばないものの、混線による速度低下が少ない5GHzの11n(300MHz)に比べて、2~3倍以上のスピードが出ている。さすがに距離が離れると速度も低下するが、それでも十分速いことが分かるだろう。
通信速度ではいまひとつピンとこない人もいるかもしれないので、無線LAN経由でファイルコピーにかかった時間の計測結果を紹介しよう。親機に接続されたPC(1)でファイルの共有を行ない、子機に接続されたPC(2)からコピーする時間を計測している。コピーには100枚のJPEG画像(182MB)と1個のISOファイル(4.35GB)を利用した。なおPC(1)は比較的低速な5,400rpmのHDDを搭載し、PC(2)は高速なSSDを搭載している。ストレージのアクセス速度も影響している点に注意していただきたい。
比較的容量が少ない場合は、AtermWG1800HPとAtermWG1400HPでの差はあまりない。しかし距離が離れた状態で大容量ファイルをコピーする場合は、AtermWG1800HPの速さが結果に現われている。AtermWG1800HPは、複数のデバイスで大容量ファイルをやり取りする場合に向いているだろう。
11nの通信速度に関しては、これまで特に意識しないまま「こんなもんだろう」と思っていたが、ドラフト11acと比べると明らかに遅く感じた。特に容量の大きいISOファイルのコピーでは、最大で6分弱の差が出ている。子機まで購入することを考えるとドラフト11acの導入にはコストがかかるが、これだけの違いが出てくるなら検討してもいいかもしれない。
なお、ファイルコピー時のダイアログを見ると、それぞれの通信速度がどれだけ安定しているのかが分かる。11nは速度にバラつきがあったが、11acは比較的安定していた。今回の試用に限っていえば、AtermWG1400HPが最も安定していたのは興味深いところである。