日本経済研究センターは20日、2013年3月の世界景気インデックスを発表した。それによると、3月の世界景気インデックスはマイナス10.5となり、7カ月連続の「嵐」となった。比重の大きい米国、日本、中国の低下が影響したことが要因。
米国や日本では、景気回復への期待感などから株価が上昇しているものの、中国は年初から株価の低下が続き、生産・小売・輸入といった実体経済の指標からなる本指数も低調な動きとなっている。これは、欧州の停滞などによる輸出低迷が継続していると見られる。また、BRICsなど新興国のもたつきも目立つとのこと。
各国・地域の景気インデックスを見ると、米国は7カ月連続の「雨」で、4月の速報値では「嵐」に悪化すると予測。ただし、「シェール革命」による燃料輸入の減少が指数の悪化に影響している要素が大きいという。
EUは「嵐」。2月まで2カ月連続で改善した後、3月は停滞した。生産や小売を中心に改善しつつあったものの、欧州委員会が公表した4月の景況感指数(ESI)は7カ月ぶりに低下。「マインドの悪化による実体経済の悪化が懸念される」(日本経済研究センター)。
中国は「雨」。4月の速報値を含めると、指数は4カ月連続で低下し、さらに「雨」は12カ月連続となる。4月の中国PMIでは新規輸出受注の低下(50.9~48.6)が目立っており、輸出環境の悪化が鉄工業生産の低下に影響していると推察される。また、習近平総書記が打ち出した綱紀粛正による消費の抑制に消費者物価の上昇が重なり、実質小売売上高も低迷している。
NIEs(韓国、台湾)は「雨」。韓国の3月の鉄工業生産は前年比3.0%減、台湾は同3.3%減となっており、これはWindows8の販売不調やPC・半導体需要の不振などが影響していると考えられる。また、日本と競合する財の多い韓国の場合、最近の円高修正が影響を与える可能性があるという。
このほかの国・地域については、インドが「嵐」、ロシア、BRICsが「雨」、ブラジル、ASEANが「曇り」などとなった。
景気インデックスは、経済指標の伸び率(前年同月比)を評価する指標。過去の平均的な伸び率を基準(0)に、標準偏差1つ分を10ポイントに置き換えて算出する。基礎指標は輸入、生産、商業(小売)販売で、1996年~2005年までの10年間の伸び率とその標準偏差を基に計算。産出した指標は天気図で表し、ゼロ周辺を「曇り」、7.5以上を「晴れ」、2.5以上を「薄日」、マイナス2.5未満を「雨」、マイナス7.5未満を「嵐」に分類している。