ライオンはこのほど、「女性の薄毛」の原因は、女性ホルモンが減少することで直接引き起こされる可能性があると発表した。ライオン生命科学研究所と順天堂大学・植木理恵先任准教授が共同で行った「女性の薄毛」の研究により確認されたという。
女性ホルモンの減少は、発毛・脱毛因子に影響
40~60代の薄毛が気になる女性を対象に、「洗髪時の抜け毛」について分析した結果、閉経後の女性は抜け毛が多くなる傾向があることから、閉経後の女性ホルモンの減少が女性の毛髪に何らかの影響を与えることを再確認した。
そこで、「女性の薄毛」の原因をさらに解明するため、女性ホルモンと毛髪の成長に関連する因子との関係について、最新の網羅的遺伝子解析を用いて検討。その結果、毛髪に関与し、女性ホルモンの有無で発現量が変動する遺伝子が203個あった。
その内訳は、女性ホルモンの存在下で発現が増加する遺伝子(形態形成や細胞の増殖に関係する遺伝子)が122個、発現が低下する遺伝子(炎症やアポトーシス=細胞死に関係する遺伝子)が81個であることが確認された。
さらに、これらの中から毛の成長や薄毛と関連が高い遺伝子として、発毛を促進すると考えられる因子(「BMP2」「LEF1」「MSX2」「BCL2」など)と、脱毛を促進すると考えられる因子(「IL1A」「FGF18」など)を選定し、女性ホルモンの有無による変動を調べた。その結果、女性ホルモンが存在すると、発毛促進因子の一部が増加し、脱毛因子の一部が減少することがわかった。
育毛剤成分は女性の薄毛にも効果的な可能性あり
また、ヒト臨床試験にて育毛効果が認められている数種類の成分を、女性由来のヒト毛乳頭細胞に添加して「BMP2」「IL1A」遺伝子の発現量を調べたところ、添加した成分の「6-BA」は、発毛促進因子「BMP2」の発現量を増加させ、脱毛因子「IL1A」の発現量を抑制することが確認できた。
同調査では、このことから「6-BA」は、女性ホルモンが減少することで引き起こされる「女性の薄毛」に、効果的に作用する可能性があると結論付けている。調査の詳細は「ライオンのプレスリリース」で閲覧できる。