スイスのバーゼルで開催されたウオッチ&ジュエリーの祭典「BASELWORLD 2013」。そのカシオブースにて、2013年の製品開発およびマーケティングなど、時計部門の世界戦略に関するカンファレンスが行われた。スペシャルゲストとして、ヨーロッパにおけるSHEENの新アンバサダーが登場。SHEENのブランドイメージを体現する華やかさと美しさで、ステージに花を添えた。
カシオだからできたアナログ時計
満席となったカンファレンス会場で、カシオ計算機 取締役 時計事業部長 増田裕一氏は取材陣を前に、次のように語った。
「アナログ時計の市場が拡大していく中で、私たちは"カシオだからこそできるアナログ時計"を目指してきました。デジタル技術とアウトドアウオッチの開発で培われたセンサーやメモリーといった、カシオの強みを生かせる多機能ウオッチ。そのひとつの到達点が、今回のカシオブースの展示テーマでもある"SENSOR CHRONOGRAPH(センサー・クロノグラフ)"です」
時分秒の各針を別々のモーターで独自に駆動・制御できる「マルチミッションドライブ」、多機能な針の操作を電子式リューズスイッチで直観的に操作できる「スマートアクセス」、世界6局の標準電波(時刻)受信とソーラー充電、耐衝撃性と針位置自動補正を実装した「タフムーブメント」など…。カシオが次々と切りひらいてきた革新的な時計機能・時計表現に、今回、超小型化・超省電力化された画期的な方位センサーが加わったのだ。
カシオ製品の歴史。近年、アナログウオッチの販売が拡大。デジタル技術を生かしたアナログウオッチ開発へと事業戦略を転換 |
マルチミッションドライブの表現そのものはアナログだが、その心臓もまたカシオならではのデジタル技術が支えている |
マルチミッションドライブの進化プロセス |
「従来のセンサーに対して、95%の小型化と90%の省電力化を実現した」という増田氏の言葉に、取材陣の席からは思わず感嘆の溜息が漏れた。この方位センサーとより高精度化された気圧センサー、そして処理能力を向上させたカシオのセンサーICを組み合わせたシステムが「トリプルセンサーVer.3」。テーマである「SENSOR CHRONOGRAPH」と密接に関わる、最新のキーテクノロジーである。
増田氏は、その製造における重要なポイントとして、山形カシオでのムーブメント生産ラインの様子をビデオで紹介。マルチミッションドライブなどに要求される、極めて高度な組み立て精度と技術力を強く印象付けた。
上映されたビデオは、日本国内で行われた新製品発表会のカンファレンスで上映されたものより詳しく、上映時間も長い。その内容からは、山形カシオの高い技術はもとより、いっそう精密な製造工程が要求される高額製品に与えられる「Premium Production Line」のブランドを、海外市場に対しても強力にアピールしていきたいという同社の意向がはっきりと読み取れた。
「画像認識や自動検知技術などを駆使し、時計組み立て技術の認定を受けた者だけが従事するエキスパートライン。それは、製品開発と同様、伝統的なスイスウオッチとは対照的なカシオならではの先進の製造ラインです」(増田氏)
G-SHOCKは世界中で絶好調
続いて、営業本部 常務取締役の中村寛氏がカシオ各ブランドの新製品について解説した。世界中にブランドショップを展開するG-SHOCKからは、SKY COCKPITシリーズの新作「GW-A1100」。モータースポーツシーンを標榜するEDIFICEからは「EQW-A1200」。そして、アウトドアのプロギアPRO TREKからは「PRW-3000」。GW-A1100(G-SHOCK)とPRW-3000(PRO TREK)には、前述のトリプルセンサーVer.3が搭載され、EQW-A1200(EDIFICE)にも、新方位センサーが採用されている。
また、30周年を記念した大型イベントの実施や、アニバーサリーモデルが続々とリリースされるG-SHOCKの好調についてもアピール。G-SHOCKは世界市場での認知度、販売本数ともに大きく伸びており、まさに、大きな波に乗っているという印象だ。
そして2013年6月、シンガポールにもG-SHOCK旗艦店「G-FACTORY PREMIUM」がオープン予定 |
ヒット作となったアナログフェイスの歴代G-SHOCK。その進化の系譜 |
そのスピリッツを受け継ぎ、「トリプルセンサーVer.3」を搭載することで性能を大きく向上させた最新機種「GW-A1100」 |
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