ミュージシャンの佐野元春と古厩智之監督が17日、都内で行われた、ドラマ『配達されたい私たち』の放送記念トークショーに出席した。

左から、佐野元春、古厩智之監督

ドラマ『配達されたい私たち』は、脚本家の一色伸幸が自身のうつ病体験を元に描いた同名小説(角川文庫刊)を古厩監督が実写化したヒューマンドラマ。うつ病で仕事を無くし、妻や息子との関係も上手く築けない32歳の澤野始(塚本高史)は、自殺をしようとした廃墟で、7年前に捨てられた7通の手紙を拾う。人生のカウントダウンとして、その手紙を配達することにした澤野は、向かう先々で様々な人間ドラマに遭遇する――というストーリーで、主題歌『虹をつかむ人』を佐野が担当している。ドラマは毎週日曜日22時~WOWOWで放送中(全5話、19日12時45分~第1回を無料再放送)。

フジテレビ系で放送されたドラマ『二十歳の約束』以来、21年ぶりに連続ドラマの主題歌を務めた佐野は「監督や作家が僕の曲を指名してくれて、同じクリエーターとしてうれしい」と起用を喜び、「この曲はまともに生きようとして壁にぶつかってしまう人を、バックアップするような気持ちで作った。ゴールに行くまでのプロセスが大事なこと」と歌詞の要旨を説明。また、古厩監督が撮影中、スタッフたちの間で“虹”がキーワードになっていたことを明かすと、佐野は「僕の中では虹は大事なことのイメージ。単に希望の象徴では無くて、自分の良くないところを気付くためのサインだと思ってる」と話し、「この曲がドラマに貢献出来たら良いなと思う」と語った。

高校時代から佐野の音楽を聴いているという古厩監督は「節目節目に佐野さんの音楽がある。彼女が出来た時に『欲望』を聴いて、こういう風に彼女と話したいと思ったり。勝手にアニキだと思ってます」と佐野との共演に大感激で、「全国にいっぱい弟がいる。とても光栄です」と応えた佐野は「多くの人が楽しんで曲を聴くために、物語を描こうと意識してる。僕たち人間が持ってる明るい面を淡々と描いて、暗い面を聴き手に想像してもらうことを心掛けてます」と曲作りへの姿勢を披露。一方、映画作りについて「撮影が楽しくて映画を作ってます。ライブしてるみたいな感覚」と語った古厩監督は、最後に「喜劇のつもりで作ったオフビートコメディ。一生懸命生きるって、肯定的な意味で笑える。それが伝われば」と同作をアピールした。