5月15日、トレンドマイクロはコンシューマモバイル向けの2013年の事業戦略を発表した。同時に、Android端末向けの新たな製品も発表した。その概要を紹介しよう。
コンシューマ戦略
まず、同社取締役副社長である大三川彰彦氏が、コンシューマ戦略を紹介した。冒頭、大三川氏は環境の変化を取り上げた。数年前までは、PCだけだったデバイスがスマートフォン、タブレットなど多種多様なデバイスが使われるようになった。トレンドマイクロの調査によれば、異なる複数のデバイスを持つユーザーは4割になるとのことだ。そして、SNSなどの利用も急増している。ちなみに、Facebookは1,727万人、Twitterは1183万人、LINEは4500万人以上が利用している。これにあわせて、アプリも大きく変化している。Abdroid向けのアプリは240万個、App Store上のアプリは85万個にのぼる。
そして、Androd向けの不正アプリは50万個にも達し、不正アプリの20%がGoogle Playに存在するという調査結果もある。さらにトレンドマイクロでは、240万個のアプリのうち、バッテリー消費が高いアプリが約30%、プライバシー漏えいリスクのあるアプリが約20%も存在していると分析している。こうした脅威が存在している中で、3種類以下のパスワードを使い回しているユーザーが70%もいる。セキュリティの重要性はわかるがどうやって実現していくのか?一方で、使い勝手の問題もある。大三川氏は、この両立を目指すのがトレンドマイクロの役割と考えているとのことだ。
その実現のために、コンシューマ領域では3つのDにフォーカスして製品を投入していくとのことである。この3つのDは、図4に示す。
まずは、デバイスプロテクションである。これは、ユーザーが利用するさまざまなデバイスを防御する、PCやAndroid端末だけでなく、NASやUSBメモリなども対象となる。次はデータアクセスである。ID/パスワード管理、スマートフォンやタブレットのデータバックアップなどが該当する。最後がダウンロードアプリである。ユーザーが利用するソフトウェアやアプリの安全を守る仕組みである。ダウンロード時のチェックはもちろん、マーケット上のアプリを事前にチェックすることも含まれる。これらのソリューションの基盤となるのが、Trend Micro Smart Protection Networkである。
2008年から使われているものである。さまざまな評価(レピュテーション)を瞬時に行い、新たな脅威にリアルタイムに対応するものである。世界中から脅威を収集し、分析を行い、保護に使われる。最後に大三川氏は、セキュリティベンダーとして25年培った技術を活かし、コンシューマにおける安全・安心で楽しいデジタルライフを提供することを目標としたいと語った。
コンシューマモバイル戦略と新製品
次いで、コンシューマビジネス統括本部長の大場章弘氏が登壇した。まずは、モバイル環境における脅威動向などを解説した。
大場氏は、いずれの端末でもCPU性能が向上しており、Webだけでなくアプリを利用するユーザーが増えてきている。当然、アプリの全体数も増えている。その一方で、不正なアプリも1年間で80倍という増加となっていると指摘する。このようなモバイルにおける脅威に対する戦略が、図7である。
3つのDである3D戦略にあてはめたものである。太いラインで囲まれたものが、今回の新製品や機能強化製品である。順にみていこう。まず、中心となるのがウイルスバスターモバイルである。今回、2.6から3.1へバージョンアップした。メイン画面では、現在の状況が一目でわかるようになってる。画面をずらすと、個々の操作選択となる。同時にリリースされたセーフバックアップなどのと連携も可能である。
会場では、実機を使ったデモも披露された。図9はセーフバックアップである。
連絡先、履歴、コンテンツなどをクラウド上に6GBまでバックアップできる。簡単な操作性が特徴である。次は、バッテリーエイドである。
電話専用モードに設定すると、電話とSMS以外の機能をすべてオフにする。バッテリー残量が少なくなった場合などに使う。また、おまかせeco設定では、ネットワーク接続を自動的にオン/オフし、電力消費を抑える。クラウド型アプリ評価サービス(Trend Micro Mobile App Reputation)では、アプリマーケットをクロールし、アプリの安全性を検証するものである。今後のロードマップは、図11である。
今後も新製品などがリリースされる予定である。現時点では、個別に製品があるが、今後の大きな方向として、オールイン型のセキュリティ対策製品にシフトしていく予定とのことである。いくつもの製品が乱立することで、使い勝手を悪くなるような状況は避けたいとのことである。これには、ユーザーの声なども反映する予定とのことである。