「ASEANを最重点地域とした海外事業の拡大」としては、現在21%の海外売り上げ構成比を占めるアジアの売上高を、2015年度には31%にまで引き上げ、米州を上回る最大規模に拡大させる。特に、ASEANの人口の約4割を占めるインドネシアにおいて自社工場を持ち、ローカルフィットの製品を生産している強みを生かし、この成功事例を他国に展開する姿勢をみせた。

インドネシアにおける成功事例を基にASEAN各国への展開を図る

「全社コスト構造改革による固定費削減」では、2012年度は売り上げ比で33.7%を占めていた固定費比率を、2013年度には28.1%にまで削減する予定。「本社部門のスリム化」「人件費の抑制」「国内・海外拠点の構造改革の3点から実行していくという。

固定費を削減することで損益分岐点を引き下げる

「財務体質の改善」では、在庫水準の適正化や設備投資の削減、有利子負債の圧縮に取り組むとした。

そのほか、過剰在庫の抑制や、設備投資の削減、有利子負債の圧縮も課題としている

なお、財務面での懸念材料とされていた、2013年6月末が期限となる3,600億円のシンジケートローンについては、必達目標としていた2012年度下期の黒字化を達成したことで、2015年度末までの更改が可能になった。さらに、追加融資枠として1,500億円を確保したことで、今後の自助努力によるキャッシュフローの改善、さらなる資金政策の実行を加えて、2013年9月に迎える2,000億円の転換社債の償還にも目処がついたという。

一方で、新規領域として、「ヘルスケア・医療」「ロボティクス」「スマートホーム・モビリティ、オフィス」「食、水、空気の安心安全」「教育」の5つの分野に重点的に取り組む姿勢をみせた。

資金繰りについては目処がついたという

重点事業としては5分野を挙げる

高橋次期社長は、「世界の人々に、新たな価値と喜びを提供し続けるために、顧客起点で技術を磨くことが大切である。これによって必ず再生と成長を成し遂げる」と、中期経営計画の達成に意欲をみせた。

顧客を起点にした姿勢で再生と成長を成し遂げると語る高橋氏