安全とおいしさの両方が学べる教室に参加者は大満足の様子

5月9日、Harajuku Kitchen Studioにて「キッチンまわりの衛生管理も学べる料理教室」が行われた。主催は、一般家庭のキッチンにおける衛生意識を高め、アルコール除菌の正しい実践方法を伝えていくことを目的に設立された研究所である「アルコール除菌@キッチンラボ」。

高温多湿の夏場は細菌性食中毒のピーク

栄養士&フードコーディネーターの若宮寿子先生

講師を務めた栄養士でフードコーディネーターの若宮寿子先生によると、食中毒の主な原因は「細菌」と「ウイルス」とのこと。なかでも細菌は、温度・湿度・栄養の条件がそろうと、食物の中で増殖するという。

つまり、高温多湿の夏場では食中毒の危険性が当然ながらグッと高まるのだ。しかも、気象庁の発表では「今年の夏は、広い範囲で気温が高め」との予想が出ており、食中毒に対する一層の警戒が必要となる。

食中毒予防のためには、「アルコール除菌スプレー」などが効果的とのこと。アルコールは、大腸菌・サルモネラ菌・黄色ブドウ球菌といった、食中毒を引き起こす菌に対して、短時間で強い殺菌力を発揮する。

キッチン用のアルコール除菌スプレーは、食品・食品添加物由来の成分で作られているので、食品や食器にかかっても害はない。また、サッと吹きかけることができるので、手軽に食中毒予防をすることができる。

「同じアルコールでも、お酒などのアルコール飲料は一般的に濃度が低く、除菌力が弱いため効果を期待できない」と若宮先生。実際には、市販の高濃度アルコール除菌スプレーを使用するのが正解とのことだ。

除菌による食中毒予防の効果をレクチャー

アルコール除菌スプレーは食中毒予防の必須アイテム

キッチンまわりの雑菌を取り除くためには?

菌を撃退するには、菌がどこに潜んでいるのかを把握しておかなければならない。料理教室に参加していた衛生微生物研究センター所長の李先生によれば、台ふきん・まな板・シンク・冷蔵庫の野菜室・食器用スポンジなどで、特に菌が繁殖しやすいそうだ。

軽く洗ったまな板を高温多湿なシンクに置いて、雑菌数がどのように変化するかを実験した結果、洗った直後は10cm四方に400個だった雑菌が、10時間後に2,500倍、12時間後には何と50,000倍にまで増殖したという。対策としては、まな板をしっかり洗い、風通しの良いところで乾燥させること、また、使用する前にアルコール除菌スプレーを吹きかけて清潔な状態で使用することなどが重要だ。

除菌したまな板なら安心して食材を載せることができる

洗濯して乾燥させた台ふきんにアルコール除菌スプレーを吹きつける

一方、台ふきんの雑菌は水洗いしたくらいでは落とせないので、台ふきんを乾かし、アルコール除菌スプレーを吹き付けて使用することが推奨されている。除菌効果があるだけでなく、台ふきんに水分が残らないため、菌の発育を防いでくれる。

ただし、アルコール除菌スプレーは、一度スプレーすれば効果がずっと持続するわけではない。キッチンのすぐ手が届くところにスプレーを常備し、日常的に除菌を行うくせを付けることが大切だ。

今日から実践! 食中毒予防の6つのポイント

講座では、食中毒予防の6つのポイントについても解説された。食中毒を予防するための原則は、雑菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」である。

ポイント1:食品の購入
肉、魚、野菜などの生鮮食品は、できるだけ新鮮なものを購入すること。そして冷蔵や冷凍などの温度管理が必要な食品の購入は買い物の最後にして、購入後は寄り道せずに真っすぐ持ち帰る。

ポイント2:家庭での保存
温度管理の必要な食材は、持ち帰ったらすぐに冷蔵庫や冷凍庫に収納する。冷蔵庫は10度以下、冷凍庫はマイナス15度以下に維持すること。細菌の多くは10度で増殖のスピードが遅くなり始め、マイナス15度では増殖が停止する。肉や魚はビニール袋や容器に入れて、冷蔵庫の中でほかの食品に肉汁などが付着しないように注意すること。

手首まで入念に洗い、ペーパータオルで水分を拭き取る

ポイント3:下準備
こまめに手を洗うこと。生の肉や魚を取り扱ったら、その都度手洗いを忘れずに。包丁やまな板は、できれば肉用・魚用・野菜用と別々にそろえたい。それが難しければ、食材が変わるたびに洗剤で洗い、アルコール除菌スプレーを吹きかける。解凍は冷蔵庫内か電子レンジで行い、調理台に放置したままでの自然解凍は避ける。

ポイント4:調理
食品の中心温度が75度以上で、1分間以上加熱することによって、雑菌を殺すことができる。料理を途中でやめてそのまま室温で放置すると、雑菌の付着や増殖の危険性が増すので、中断する際には冷蔵庫で保管するように。

ポイント5:食事
清潔な手で、清潔な器具を使って、清潔な食器に盛り付ける。温かい料理は65度以上、冷やして食べる料理は10度以下の状態をキープすること。食品を室温で長時間放置するのは厳禁。例えばO157の場合、室温で20分放置すると菌の数は2倍に増えてしまう。

ポイント6:残った食品の保存法
残った食品は、早く冷えるように浅い容器に小分けにして保存する。そして温め直すときには、75度以上で十分に加熱すること。スープやみそ汁は、沸騰するまで加熱したい。

講義後は先生の指導の下で調理の実習

調理中もアルコール除菌スプレーが大活躍

メインディッシュは「鶏のマリネハーブ焼き」

講義のあとは、「鶏のマリネハーブ焼き」などを作る料理教室を実施。参加者たちは、早速アルコール除菌スプレーを上手に利用して、安全でおいしい食事作りを楽しんでいた。