財務省は10日、2012年度の国際収支状況(速報)を発表した。それによると、海外とのモノやサービスの取引状況などを示す経常収支の黒字額は、前年度比43.6%減の4兆2,931億円となった。黒字幅の縮小は2年連続で、統計可能な1985年以降最少の黒字額となる。
貿易・サービス収支は、過去最大となる9兆4,759億円の赤字。赤字幅は前年度より4兆1,795億円拡大した。
貿易収支は、同じく過去最大の6兆8,947億円の赤字。赤字幅は前年度比3兆4,250億円増加した。鉱物性燃料や通信機等の輸入が増えた一方、海外経済の減速などにより、中国やEU向けを中心に輸出が減少したことが影響したと考えられる。
輸出額は61兆5,703億円で、前年度比1兆572億円減少。輸入額は68兆4,650億円で同2兆3,677億円増加した。なお、輸出額は2年連続の減少、輸入額は3年連続の増加となる。
サービス収支は2兆5,812億円の赤字。赤字幅は前年度比7,545億円拡大した。旅行収支が赤字幅を縮小したのに対し、輸送収支の赤字拡大やその他サービスが赤字に転落したことが響いた。
所得収支は14兆7,245億円の黒字。黒字幅は前年度比7,176億円増加した。配当金・配分済支店収益および再投資収益の受取増加により直接投資収益が増加したことに加え、配当金の受取増加により証券投資収益も増加したためと見られる。所得収支の黒字幅は2年連続の拡大となる。
資本収支は5兆4,786億円の流出超(前年度は2兆9,618億円の流入超)となった。
同省は併せて、2013年3月の国際収支状況(速報)を発表。それによると、経常収支の黒字額は前年同月比4.3%減の1兆2,512億円となった。黒字幅の縮小は562億円にとどまり、2012年3月以来1年ぶりに1兆円を上回った。
貿易・サービス収支は2,194億円の赤字。赤字は12カ月連続で、赤字幅は前年同月比で2,965億円拡大した。
貿易収支は2,199億円の赤字。赤字幅の拡大は7カ月連続で、前年同月比で2,187億円増加した。有機化合物、鉱物性燃料等を中心に輸出が増加したものの、原粗油、液化天然ガスを中心とした輸入の増加が上回ったことが要因としている。
輸出額は6兆671億円で、前年同月比179億円増加。輸入額は6兆2,870億円で、同2,366億円増加した。なお、輸出額は2カ月ぶりの増加、輸入額は5カ月連続の増加となる。
サービス収支は5億円の黒字で、黒字幅は前年同月比778億円縮小した。所得収支は1兆7,111億円の黒字で、黒字幅は同2,106億円拡大した。一方、資本収支は8,623億円の流出超(前月は1,317億円の流出超)となった。