おにぎりとおむすびは、コンビニでダントツの売り上げを誇り、国民食と言ってもよいほどの存在。でも、おにぎりとおむすびって何が違うのでしょうか?気になって仕方ないので、文献をひも解き、コンビニの商品棚に並んだおにぎりとおむすびをじっくりと観察してみました。
コンビニには"おにぎり"派と"おむすび"派があった!?
まずは、おにぎりに関する統計調査をご紹介。総務省の家計調査によると、日本人一人当たりのおにぎり(おむすびを含む)購入量は、全国平均3,659円(2008年~2010年平均)。都道県別では東京都がトップで4,771円、1個120円として計算すると、東京都民は年間およそ40個のおにぎりを購入していることになります。
おにぎりを購入する場所はコンビニエンスストアが最も多いはずですが、そのコンビニでは、おにぎりとおむすびとはどう区別されているのでしょうか。
まずはローソン。「おにぎり屋」のシリーズ名で商品ラインナップを展開しており、棚にはおにぎりばかり。これと対照的にファミリーマートは、「愛情むすび」と銘打って商品展開をしており、おむすびばかりです。
でも、ローソンのおにぎりとファミリーマートのおむすびとの間に、形状などの差はほとんど認められません。
サークルKの場合は「おむすび道」と名付けられた商品が多く、おむすび派といえますが、おにぎりと呼ばれる商品も。セブンイレブンはどうかといえば、おにぎりとおむすびが混在しています。
結局、おにぎりとおむすびの差はよく分からず……。そこで、セブンイレブン広報部に「おにぎりとおむすびはどう違うのですか?」と尋ねてみました。
「ノリがパリパリのタイプがおにぎり。そうでないものがおむすびです」
その名前の使い分けには、何か根拠があるのかうかがったところ、「いえ、単なる社内的な使い分けにすぎません」との回答。
コンビニエンスストアに限っては、おにぎり、おむすびは単なるネーミングの違いであり、その使い分けにさしたる根拠はないようです。
地方によっても呼び方が異なる
辞書ではどうなっているか調べてみましょう。小学館発行の『大辞泉』で調べると、おにぎり【御握り】は、「握り飯を丁寧にいう語。もと女性語」とあります。
一方のおむすび【御結び】は、「握り飯を丁寧にいう語。おにぎり」とのこと。おにぎりが「もと女性語」となっているだけで、あとは全く違いがありません。
ほかの文献をひも解くと,平安時代の貴族の女性たちがおむすびと呼んだの対し、おにぎりは農民などの庶民の言葉だったとの説が。おむすびの「び」は、古い時代には「魂」の意味があり、おむすびには「魂をこめたもの」の意味もあるとの説もあります。
さらに、おむすびは東日本での言い方で、西日本ではおにぎりと呼ぶことが多いとも。また、千葉県の一部の地方では、大きく握ったのがおむすびで、小さく握ったものをおにぎりと呼ぶそうです。
つまり結論は、言葉のルーツはともかくとして、今ではおにぎりとおむすびとを分ける厳密な区分はないというのが正解のようです。
「おにぎりあたためますか」とレジで言われたことがありますか?
ところで、あなたはコンビニでおにぎりを買う際に、おにぎりをレンジであたためてもらったことがありますか?
北海道のテレビ局では、『おにぎりあたためますか』というローカル番組があります。番組名は、コンビニでおにぎりを買うとレジで聞かれる言葉に由来しているそうです。
関東や関西ではおにぎりをあたためる人は少数派ですが、北海道や沖縄などの一部地域では、コンビニでおにぎりを買うと「あたためますか」とレジ係に聞かれるとか。そして、「はい」と答えてあたためてもらう人がたくさんいるのだそうです。
もちろん、おにぎりもおむすびも、もともとは携行食的な食べ物ですから、あたためて食べることは昔は少なかったでしょう。これも電子レンジが普及してからの新しい食べ方。いつか、おむすびはあたためて食べるのが普通といった時代がくるのかもしれません。
(OFFICE-SANGA 日下部商店)