埼玉県は、県内の消費生活センターの相談窓口に、カンボジアの「アパート区画使用権」や「土地使用権」への投資に関する相談が増加しているとして、消費者に注意を促している。
これまでに県消費者センターに寄せられたカンボジアへの投資に関する相談総数は124件(2011年度23件、2012年度101件)。相談総数のうち27件が支払後の相談となり、契約者が支払った金額は平均約294万円に上る。支払金額別に見ると、最も多かったのは「100万円以上500万円未満」の37.0%、次が「10万円以上50万円未満」の29.6%だった。
契約者の平均年齢は71歳で、70歳代が75件で最多、次が60歳代の31件。男女別に見ると、女性が65.6%、男性が34.4%と、女性が男性のほぼ2倍に相当する。
埼玉県は、取引の対象が外国ということもあり、その実態が消費者にわかりにくく、一度支払った契約金を取り戻すことは困難だと警告。また、消費者に契約金を払わせるため、複数の事業者が登場してさまざまな手法で勧誘する「劇場型勧誘」も行われているとして、注意を呼びかけている。
主な相談事例
「A社からカンボジアのアパート区画使用権に関するパンフレットが封書で届いた。次にB社から電話があり、『区画10万円で代理購入して欲しい。代理で購入してくれれば1区画18万円で買い取る』などと言われ、3区画購入することとした。銀行振り込みではなく、普通為替で送金するように指示されたので、30万円支払った。家族に相談し、だまされたとわかったので、支払ったお金を返して欲しい」(70歳代 女性)
「証券会社の調査部を名乗る男性から電話があり、『日本企業がカンボジアに移転する。そのためにアパートが必要になる』『代理購入してくれれば弊社で100万円につき113万5千円払って引き取る』『口外しないように』などと言われた。自宅で100万円手渡した。2日後に追加で500万円を払って欲しいと電話があり、不審に思い証券会社の担当に電話したところ、だまされたことに気がついた。返金して欲しい」(70歳代 男性)
埼玉県は消費者に対し、「実態や契約の内容を理解できなければ絶対に契約しないこと」、「『後で高値で買い取る』などという業者の勧誘に乗らないこと」、「現在カンボジアの不動産が商品となっているが、これが他国(例:ミャンマー)の不動産に替わったとしても十分に警戒すること」、「このような業者から勧誘された時点で最寄りの消費生活センターに相談すること」などのアドバイスを行っている。