書籍チェーンの米Barnes & Nobleは5月3日(現地時間)、同社タブレット製品の「NOOK HD」ならびに「NOOK HD+」向けに「Google Playアプリストア」へのアクセスを可能にするアップデートの提供を開始したと発表した。これにより、既存のNOOK向けアプリ1万点に加え、NOOK HD/HD+ユーザーは新たにGoogle Playで提供されるAndroidアプリ70万点以上が利用可能になった。

NOOK HDは液晶ディスプレイのタッチパネルを搭載したタブレット製品で、HD+は1080pのフルHD表示が可能なその上位モデルにあたる。同製品はもともとAndroidをベースに構築されていたが、Google Playアプリは搭載せず、独自のNOOK Storeアプリを通じてBarnes & Nobleがユーザーに対してアプリを提供していた。内容的にはAndroidタブレットとほぼ同等なものの、アプリ開発者らはNOOK向けに別途ストア登録を行わなければならず、このアプリストアの制限からユーザーが利用可能なアプリの数が限られているという問題があった。今回のGoogle Play対応により、GmailやYouTube、Google MapsといったメジャーなGoogle謹製アプリだけでなく、同ストアに登録されている各種ユーティリティやゲームまで幅広く利用可能になった。

タブレット市場で厳しい戦いを続けるNOOKにとって、今回の方針転換はライバルのAmazon.comに対して優位に働く可能性がある。Amazon.comのKindle Fireも従来のNOOK同様に独自ストア方式を採用しており、機能的にはカスタマイズAndroid OSをベースに共通化されているものの、Google Playが利用できないという問題がある。その点でNOOKがアプリ数で優位に立つことになる。一方でAndroidタブレットの世界で続いている低価格競争へと巻き込まれることになり、Barnes & Nobleの抱える電子書籍コンテンツ販売へとどれだけユーザーを誘導できるかがよりいっそう重要になるだろう。