今年大学を卒業して社会人になったフレッシャーズにとって、初めて給料をもらう喜びは大きなものだろう。親御さんに贈り物をしたり、かねてほしかったものを記念に買ったりする人もいるだろうが、その給料が振り込まれるのは勤務する会社が指定する銀行の口座も多いだろう。本記事では、そのような口座とは別に、「自分で選ぶ銀行口座」を持つことのメリットを、ネット銀行を中心に紹介していきたい。前回のセブン銀行に続き、今回はじぶん銀行を紹介する。
じぶん銀行
じぶん銀行は、KDDIと三菱東京UFJ銀行が共同出資し、2008年に設立したネット銀行だ。親会社が「au」を展開するKDDIだけあって、携帯電話やスマートフォンなどのモバイル端末を通じたサービスに強みを持っている。他のネット銀行と同様、インターネットでの取引になるので、顧客が店舗に足を運んでということではなく、携帯電話やスマートフォン、自宅のパソコンで取り引きするというスタイルとなる。今のフレッシャーズは、就活の際には必ずといっていいほどスマートフォンやパソコンを使うため、これらのデバイスは必需品となっている。新入社員として入社し、研修などで忙しい中でも、いつも使っているこれらのデバイスから銀行取引ができるというのは大きなポイントだ。
ネット銀行は店舗を持たないかわりに、金利を高く設定したり、外貨預金の為替手数料や振込手数料を低くしたりして顧客に提供できる。そういった意味で、入ってくる給料を賢く貯めていきたいなら、金利の高いネット銀行で貯めるメリットがある。
仕事をしていると、平日銀行が開いている時間に銀行に出向いて、今月は2万円貯めよう、3万円貯めようというのは少し不便かもしれない。じぶん銀行であれば、すべての商品がスマートフォンやパソコンで取引ができるので、思いついたときに、時間を選ばず、場所を選ばず、持っているスマートフォンで定期預金などへの預け入れが可能だ。
じぶん銀行では、口座を持っている顧客に対して調査をしているが、若い層では貯蓄したいという意欲が高い人が多くなっているという。特に20代は貯蓄志向が高く、老後が不安とか、給料が増えないかもしれないというところで不安を感じている人も多い。貯蓄をしておかなければいけないという意識が強く、そういう中でしっかり貯めていこうという意識がある。そうした場合の一番最初のステップとして円の定期預金がある。給料が振り込まれて、何もしなければずっと普通預金口座に入っているわけだが、円の定期預金であれば、元本が保証されている商品なので、少しずつリスクなく貯められる最も基本的な貯蓄といえる。
じぶん銀行であれば、初めて定期預金を検討する人向けに、定期預金はどんな仕組で、どうして一定期間預けると金利が高くなるのか、金利が高いといっても、そもそも金利ってどういうものなのかなど、初歩のところから顧客に理解してもらえるようなページをつくっている。例えば300万円を3カ月預けると、満期時にいくらの金利がもらえるかを計算した「利息シミュレーション」というコンテンツがある。そうしたページを見ることで、普通預金に預けっぱなしだと今0.0何%しか金利がつかないところ、定期預金に預けると、一定期間でこれぐらいの金利がつくんだと理解できる。
またじぶん銀行では、新社会人が外貨預金をやってみようと思ったときに、口座開設から取引まですべてスマートフォンで可能だ。為替手数料も安めに設定している。外貨預金は為替のレートが刻一刻と変動しているが、メガバンクや地銀では、朝、「今日はこの為替レート1本値で取引」ということもある。「じぶん銀行なら、刻々と変わる為替レートに基づきリアルタイムで取り引きできます。また、いつも持ち歩いているスマートフォンや携帯電話で時間や場所を選ばずに取引できるので、とても利便性が高いです」(じぶん銀行の熊谷歩氏)。
例えば、朝円安になっているので取引しようとしたとしても、時間がなく、夜に取引しようとしたときには大分レートが変わっているということがある。あのとき取引しておけばよかったとなるが、じぶん銀行なら、いつも持っているデバイスでちょっとした空き時間や電車を待っている時間にレートをチェックして預けたり、前回預けたときよりも利益が出ているので円に払い戻そうとか、顧客の生活スタイルの中に溶け込んで銀行取引ができるというのが一番大きなメリットとなる。
顧客の投資目的によって、1日の値動きでコーヒーが一杯買えるなというくらいでも利益を出したいという人は米ドルやユーロなどの主要通貨に、2月に追加したブラジルレアルや南アフリカランドのように日本と比べると高金利の通貨には定期預金をしてみるなど、幅広い投資スタイルや通貨から選択できる。
スマートフォンで外貨預金の取引ができるのはじぶん銀行ならではの強みだ。他のネット銀行では、預金残高の照会、振込み、定期預金の作成などはできるが、外貨預金に対応していないところは多くある。
じぶん銀行の顧客は30代が一番多くて、その次に20代、40代と続き、20代、40代はほぼ同じくらいの比率となっている。20代から40代までですべての顧客の8割で、若い人が多いのが特徴だ。20代、30代はこれから資産を形成していく段階のため、フレッシャーズから数年は資金にもそんなに余裕がないかもしれないが、30代くらいになると、結婚などライフスタイルの変化などがあって、その後の資産運用まで考えていく世代となる。じぶん銀行でまず口座を開設し、将来の資産形成に備えるのもいいだろう。
また、じぶん銀行では、フェイスブック、ツイッターなどで、新商品やサービスリリースの案内やキャンペーン情報などを発信している。わざわざじぶん銀行のウエブサイトを訪問して情報を見なくても、ツイッターもフェイスブックをフォローしたり、いいねボタンを押せば、自動的にその顧客が常に見ているソーシャルメディアにじぶん銀行の情報が入ってくる。そこでキャンペーンをやっていることを知れば、やってみようかなというきっかけになる。ツイッターは2009年2月に始め、フェイスブックは2011年の6月に開始。どちらも約3600人の閲覧者がいるという。
メイン口座として給与振込を受け取る預金口座とは別に、もう1つの口座としてじぶん銀行を持つ意味としては、家計の支出はメイン口座で取引をして、個人のお小遣い管理や、定期預金や外貨預金を少しずつ貯めていくものはじぶん銀行にするなどの使い分けができる事だろう。メイン口座は給料が振り込まれて家賃や住宅ローンが引き落とされる、公共料金が引き落とされる、といったように使い、貯めていく、増やしていくという部分は、じぶん銀行を使うという方法がある。
また、じぶん銀行の口座は、個人のお小遣い口座として活用するのに便利だ。使える提携ATMは、三菱東京UFJ銀行、セブン銀行、E-net、ローソンATM、ゆうちょ銀行であり、全国に7万台と非常に多い。ATMの入金はいつでも何回でも無料(ゆうちょ銀行は1回まで無料)で、引き出しは深夜・土日を問わず、合算で月3回まで無料(ゆうちょ銀行を除く)となっている。
さらに、三菱東京UFJ銀行とじぶん銀行間の振込は相互に何度でも無料なので、一緒に使うことで目的別に賢く利用できるだろう。、たとえば、すでに三菱東京UFJ銀行に口座を持つ顧客であれば、貯める分をじぶん銀行に振込をして、それを定期預金に預けるとか、外貨預金に投資するという方法もある。
じぶん銀行の口座開設の説明ページは、詳しくはこちらのWEBサイトを参照してほしい。