Appleの次期モバイルOS「iOS 7」は今年6月に開催される開発者カンファレンス「WWDC 2013」で初めて一般公開されることになるとみられるが、それに先立つ形で同OSの概要に関する噂が出てきている。それによれば、iOS 7では従来までのアイコンデザインや操作を一新し、より"フラット"なユーザーインターフェイスを採用する可能性があるという。
同件は9 to 5 Macが報じている。同誌は複数の関係者の話として、iOS 7でユーザーインターフェイスに大胆な変更が加えられる可能性を指摘しており、特にその1人によれば「アイコンから陰影を取り除いたフラットなデザイン」を採用することになるという。ちょうど、MicrosoftがWindows 8やWindows Phone 7/8で採用している「Metro (旧名)」のようなタイルが並ぶデザインを想像いただければいいだろう。iOS標準アプリや機能について、リアルなアイコンよりも、機能をより抽象化したデザインに一新されることになるという。
またユーザーインターフェイスについては、現在のNotificationsをさらに発展させた形で、さまざまな機能に素早くアクセスできる仕組みを搭載することになるという。例えば、画面左右端から指をスワイプすることで各種メニューや操作画面を引き出したりする仕組みだ。これはMicrosoftがWindows 8で採用したほか、モバイルOSでもBlackBerry 10やUbuntu Phoneが目玉機能の1つとして採用していることが知られている。このアイコンデザインを含めたユーザーインターフェイスの刷新がiOS 7 (開発コード名: Innsbruck)の目玉の1つになるというのが9 to 5 Macの意見だ。
実際、アプリ切り替えやフォルダ機能など、いくつか新機能を追加して進化してきたiOSだが、基本ユーザーインターフェイスに大きな変化はないうえ、アイコンデザインに至ってはほぼ初代iPhoneのそれをそのまま踏襲している。7世代目のOSで抜本から見直しをかけても不思議はないという印象を受ける。問題は、これまで旧UIに慣れ親しんできたユーザーがどれだけ違和感なく受け入れられるかという点だろう。
その点に関しては、1つ朗報がある。iOS 6の地図問題の責任を取る形でScott Forstall氏がAppleを去って後、これまでBertrand Serlet氏が指揮してきたMac OS X開発を引き継いだCraig Federighi氏がMacとiOSの両方の開発責任を負う形となった。だがユーザーインターフェイス開発に関しては、Appleのハードウェアデザインで知られるJonathan (Jony) Ive氏がソフトウェアまで含めて今後のデザインディレクションを担当することになるという。iOS 7にも当然Ive氏の意見が反映されているとみられ、「これまでハードウェアとソフトウェアでデザインが分離していた」というコメントをインタビューで出していたIve氏が、より統一的なデザインで刷新に取り掛かった成果を間もなく見ることができるかもしれない。