東京都は30日、都内に居住する2人以上世帯の家計における収入と支出を調べた2012年年報「都民のくらしむき」(東京都生計分析調査報告)を発表した。総務省実施の家計調査と合わせて792世帯の結果を分析し、まとめた。
それによると、2012年の東京都(全世帯、世帯主平均年齢57.2歳)の「1世帯当たり年平均1カ月間の消費支出」(以下、消費支出)は、前年の31万4,480円より7,502円増の32万1,892円。前年に比べて、名目で2.4%増、物価変動を除いた実質で2.9%増加した。また、東京都の消費支出を全国平均の28万6,408円と比べると、前年の1.11倍から0.01ポイント上昇し1.12倍となった。なお、東京都の消費支出の推移を1992年から見ると、同年をピークに減少傾向にあるという。
東京都の消費支出を10大費目別に見た場合、全国と比べて、教育(1.64倍)、住居(1.41倍)、被服および履物(1.29倍)、教養娯楽(1.28倍)、保健医療(1.22倍)、食料(1.17倍)、家具・家事用品(1.10倍)、光熱・水道(1.02倍)の順に8費目で全国を上回った。一方、その他の消費支出(0.98倍)、交通・通信(0.88倍)の2品目では全国を下回った。
10大費目別の支出については、食料が7万8,922円で、名目1.3%増、実質2.0%増。乳卵類、油脂・調味料、調理食品などが実質増加したのに対し、穀類、魚介類、肉類などが実質減少した。住居は2万5,580円で、名目8.1%増、実質8.8%増。光熱・水道は2万3,122円で、名目8.9%増、実質2.5%増。電気、ガス他の光熱が実質増加した一方、上下水道料が実質減少した。
家具・家事用品は1万1,094円で、名目3.5%増、実質9.9%増。被服および履物は1万4,776円で、名目5.9%増、実質6.1%増。保健医療は1万5,568円で、名目0.3%増、実質0.6%増。
交通・通信は3万5,244円で、名目5.2%増、実質5.3%増。教養娯楽は3万6,575円で、名目0.2%減、実質2.4%増。その他の消費支出は6万1,832円で、名目0.6%増。
教育は1万9,271円で、名目2.8%減、実質3.1%減と10大費目の中で唯一減少。授業料等などが実質減少したのに対し、教科書・学習参考教材が実質増加した。
エンゲル係数は24.5%となり、前年の24.8%より0.3ポイント減少。これは、消費支出が食料費以上に増加したため、エンゲル係数を押し下げた事が要因と考えられる。
勤労者世帯(世帯主平均年齢48.0歳)の実収入は57万5,440円(前年56万5,071円)、消費支出は34万8,158円(33万7,458円)、可処分所得は46万3,181円。無職世帯(世帯主平均年齢72.4歳)の実収入は18万9,350円、消費支出は27万2,919円。可処分所得は15万9,378円で、消費支出に対して11万3,541円不足しているが、この不足分は預貯金の取り崩しなどにより補われていると推測される。