米Dish Networkが米携帯第3位のSprint Nextelに敵対買収を仕掛けた件について、日本の銀行団は同じくSprint買収で取引を行っているソフトバンクの金銭的支援に向けた動きを強めているという。米Wall Street Journalが報じている

ソフトバンクはSprintの200億ドルでの買収を発表しており、株式の70%を取得する取引は今年7月にも完了が見込まれている。だがDishは255億ドルでのSprint買収提案を行っており、一部株主はDishの提案に乗じることでソフトバンクによるSprint買収価格に異議を唱える可能性が高く、それに合わせてソフトバンクが買収に必要になる資金も当初の200億ドルを上回るとみられる。

WSJによれば、日本の銀行団のうちの1社は最大2000億円の追加融資を検討しており、ソフトバンクの米国進出を積極支援する構えだ。また別の銀行幹部も要請があれば追加融資に応じる構えだという。一方でソフトバンク社長の孫正義氏は今回の件について銀行側に追加融資の依頼を行っていないという関係者のコメントを報じており、Sprint側でもまた銀行の追加融資なしでソフトバンク単体での資金積み増しも可能だと説明しているという。 つまり、Dishの現在の提案価格であってもソフトバンク単体で対応可能な水準で、もし今後大きな変動があっても銀行団の支援で乗り切れる可能性が高いことを意味している。資金面での不安要素はないというわけだ。

以前までDishは、Sprintと資本関係のあるClearwire買収を狙っており、この買収による周波数獲得で携帯事業参入を計画していたとみられる。だが最終的にその矛先を事実上の親会社であるSprintへと向け、Clearwireの完全子会社化を狙うSprintそのものを参加に収めて携帯電話事業への参入を果たそうとしているようだ。Clearwireでは5月に向けて今後10カ月分の設備投資資金8000万ドルの調達をSprintから行おうとしており、その結びつきを強めている。Sprint買収とはつまり、Clearwireを含めた広範な周波数帯域のサービス事業を一度に手中に収めることを意味する。