3月5日、ファミリーマートのフライドフード「ファミマプレミアムチキン」(180円)が本格的に販売を再開した。同商品は2012年10月に販売が開始されたが、わずか10日で計画を大幅に上回る販売量となったため、一時販売休止となっていた。今回は、ファミリーマート商品本部の宮井真一氏にファミマプレミアムチキンの人気の秘密と、発売から販売休止に至った経緯、そして販売が再開されるまでの道のりについて聞いてみた。
「ファミチキ」を超えるプレミアムなおいしさを目指して開発
ファミリーマート商品本部の宮井真一氏 |
ファミリーマートには「ファミチキ」や「フライドチキン」など、人気のチキン商品が既にあるが、どのような経緯でファミマプレミアムチキンを発売する運びとなったのだろうか。宮井氏によれば、前々から「本格的な骨付きのチキンが食べたい」とのお客様の声があったという。そのため食べ応えのあるモモ肉を使用した商品の開発を開始。11種類のスパイスを使用してさっぱりとした味付けをし、衣を薄くすることでよりカラッとした食感を目指した。加えて、骨から肉が離れやすい部位を使用するなど、食べやすさも考慮したとのこと。また、ファミマプレミアムチキンの発売に合わせ、健康志向の高い消費者にも食べてもらえるよう店舗ではフライドフードに使用する油をコレステロール0(新油時)に変更した。
宮井氏によれば、開発の際に最も重視したことの一つに、既存の商品である「ファミチキのおいしさを超える」という目標があったという。「弊社では20代~50代の男女約200人に対してブラインド調査を行いました。ファミマプレミアムチキンと複数の競合他社のチキンを食べてもらい、どれが一番おいしいかを判断してもらったところ、全体の85.9%の方にファミマプレミアムチキンとの回答を頂きました」(同氏)。
特に好評だったのは、実際の購買層でもある30代~40代の男性で、91.4%からの支持を得たとのこと。また、さっぱりとした味付けで年配の方でも食べやすいため、50代女性の約9割からの支持もあったという。
鶏肉の供給を追いつかせることに苦労した
宮井氏によれば、予想していた販売本数のおよそ3倍のファミマプレミアムチキンがわずか10日間で完売したという。販売再開に向けて特に苦労した点を同氏に尋ねると、「とにかく鶏肉の供給を追いつかせるのが最も大変でした」との返答。「商材である鶏は、ファミマプレミアムチキンとして最適な大きさに成長するまで最短でも45日必要なんです。すぐに生産を増やす訳にはいかず、本当に苦労しました」。
ファミマプレミアムチキンが一時販売を休止したのは2012年10月末。もし生産が追いつかなければ、「年間の最大の山場であるクリスマス当日に商品を販売できない」という可能性もあったという。最終的には、クリスマス直前の12月18日には、800万本の数量限定で同商品を再販することができたが、その陰では人員の増加や生産ラインを整えるなど並々ならぬ苦労があったそうだ。
今後の展開について
同社の集計によると、2001年から販売してきたチキン商品全体の累計販売数が、2013年3月末で11億本を突破。さらに今後は、3年間で累計20億本の販売を目指すという。「レギュラーメニューとなったファミマプレミアムチキンをより多くのお客様に食べていただくことで、この大きな目標を達成したいと考えています。同商品は開発に2年近くかけ、"プレミアムなおいしさ"を追求しました。自信をもってお勧めすることができます」。