みなさんこんにちは! フィスコリサーチレポーターの三井智映子です! 今日は「為替」と「株価」のお話です。
「有事のドル買い」とは?
有事のドル買い、という格言があるのをご存知でしょうか? 戦争などの有事の場合、為替相場がどのように変動するのかわからないですよね。そんな時、世界の基軸通貨である米ドルを買っておけば安心だ、という意味だそうです。
しかし、2001年に起きた同時多発テロ以降、戦争やテロは米国にとって大きなリスクとなり、「有事のドル売り」に変わりつつあります。最近もボストンの事件の際はドル売りに繋がりましたね。とはいえ、近頃の為替の変動は激しくドル買い、というか円売りになっていて円安、円安、と言われています。対ドルですと半年で20円近く円安になったわけです。このまま円安が持続すれば輸出企業に大きな恩恵があることは想像にかたくないでしょう。
トヨタ自動車の株価に見る「円安」の効果
輸出採算の好転はどのくらいかといいますと、10円円安になるとトヨタ自動車では3,500億円の営業増益要因になると言われています。トヨタの株価は2011年11月24日に十年来最安値の2,330円でしたが、現在は5,620円(2013年4月24日終値)で推移しています。
ちなみに、トヨタは2015年夏から米国で高級車であるレクサスの生産を始めると正式発表しました。高級車の需要が好調な米国で攻勢をかける格好ですが、今後円高による影響を受けないように、とのことです。日本のトヨタの株価が8,000円を超えてきたら、日経平均株価がリーマンショック前の18,000円台になることも夢ではないと思われます。
4月24日の東京株式市場では、日経平均株価は前日比313.81円高の13,843.46円と年初来高値を更新しました。円安ドル高で業績が改善するとの見方から、幅広い銘柄に買いが入りました。富士重工業やセブン&アイHD、良品計画など、決算で最高益更新が確実視される企業が増える見込みです。
円安で外国人旅行者が増加、地方の観光地にはチャンス
円安が進むと日本を訪れる外国人旅行者が増えます。東日本大震災で落ち込んだ外国人旅行者は順調に回復していて、円安が続けばさらに追い風となるでしょう。特にアジア圏からの観光客が急増していて、バブル崩壊やデフレなどで衰退していた地方の観光地が息を吹き返し、増収や雇用が生まれることが期待されています。そして企業の外貨建て資産の差益が期待できることもありますね。
しかし、逆に円安は日本から海外へ旅行する費用は高くなります。企業は海外から調達する原材料費や人件費という面ではデメリットも大きいですよね。物価が上昇し、インフレ懸念が出てきます。(モノの価格が高くなる)デフレが長かったので、インフレは良い部分もありますが、お給料が上がらないとしたら消費が減ってしまうかもしれませんよね。日本経済の行路や世界経済の天候によって株価は揺れ動いていくと予想できます。
2年後には企業の賃上げや、それに伴う消費の上昇、インフレ期待も高まりますが、果たしてシナリオ通りにいくか、見守っていきたいですね。
執筆者プロフィール : フィスコ リサーチレポーター 三井 智映子
共立女子中学校・高校を経て、早稲田大学政治経済学部へ。2001年から芸能活動を開始し、現在テレビ、CM、舞台などに出演。また、いち消費者とアナリストの中間的な存在であるフィスコのリサーチレポーターとしても、株式やFXの現場を取材レポートしています。