女優の貫地谷しほり、竹中直人、橋本愛らが18日、都内にて映画『くちづけ』(5月25日公開)の完成披露会見に出席した。

竹中直人への感謝の言葉を述べた後、頬にキスをした貫地谷しほり

原作は、昨年末に惜しまれつつ解散した劇団東京セレソンデラックスの舞台。知的障害者が生活するグループホーム「ひまわり荘」を舞台に、7歳の子どものまま止まってしまった30歳の阿波野マコ(貫地谷しほり)と男手ひとつで育てるために30年間休業した漫画家"愛情いっぽん"こと、父・幸助(竹中直人)との深く、優しく、残酷な愛の物語を描いた。

初主演作で難役に挑んだ貫地谷だが、「根底にあるのは親子の愛なので、お父さんの愛を感じて演じられればいいなと思いました」と苦労はなかったようで、「私自身恵まれた父と母に育てられたので、役作りがいらなかったというのが今思うとありがたい話だったと思います」と両親から受け取った愛情が演じる上での支えとなったことを明かした。娘に無償の愛を注ぐ"いっぽん"の父親像に触れ、「私は一人っ子なので、"いっぽん"並かそれ以上の愛情を受けて育ちました」と振り返り、「父みたいな方と結婚したいとずっと思っているので、"いっぽん"のような男性がいいなと思います」と笑顔を見せた。

父親役の竹中とは、『スウィングガールズ』(2004年)、『僕らのワンダフルデイズ』(2009年)以来3度目の共演で、『僕らのワンダフルデイズ』でも親子役を演じた。貫地谷は、「"いっぽん"はすてきなお父さんでした。私が撮影中の時、パッと竹中さんを見ると心配そうに見守っていてくれて。撮影中は竹中さん演じる"いっぽん"の愛情を感じていました」と語り、一方の竹中も「一度親子役をやっているので一から起こすことがないというか、貫地谷さんの『いっぽん!』という声を聞いた瞬間からすぐにお父さんになっちゃいましたね」とあうんの呼吸の中で親子愛を育んだ。

会見後、貫地谷は壇上の堤幸彦監督をはじめ、宅間孝行、橋本愛に涙ながらに感謝の言葉を伝えた。そして、最後に竹中と向き合い、「初めて共演させてもらったのはもう10年くらい前で…その時から変わらず、誰に対しても一緒で。今も…変わらず…優しく接してくれてすごく励みになりました」と涙をおさえ、最後は「ありがとうございました」と笑顔を見せながら竹中の頬に優しく"くちづけ"をした。

左から堤幸彦監督、宅間孝行、貫地谷しほり、竹中直人、橋本愛