秋田と言えば「秋田美人」をイメージする人もいるだろう。秋田市では昨年度から、秋田美人7人を登場させた観光ポスターを作成し、「秋田美人キャンペーン」を展開している。また、仙北市(せんぼくし)には、「秋田美人100人隊」がいるようだ。そこで今回、秋田美人たちの今を追ってみた!
春の楽しみはお花見と秋田美人鑑賞
「京美人」「博多美人」と並んで、日本三大美人と言われる「秋田美人」。色白、二重まぶたが特徴とされ、なぜ秋田に美人が多いかについては諸説ある。
例えば、秋田は日照時間が短いので色白、冬に乾燥しないので肌がしっとり、県内を流れる雄物川(おものがわ)の水に漂白作用がある、白系ロシア人の血が混じっている、久保田藩(秋田藩)に移封された佐竹氏が常陸の国(今の茨城県)から美人ばかりを連れてきた……。とにかくいろいろな説がある。
真偽のほどはともかくとして、こうした諸説があること自体が、多くの人が秋田には美人が多いとを認めている証拠。秋田の人たちが「秋田美人」をご当地の資源として活用しようと考えるのは、ごく自然なことと言えるだろう。
「私どもでは秋田美人を酒、米と並ぶ重要な観光資源と捉えており、秋田に訪れてもらうためのコンテンツのひとつと考えております」(秋田市観光物産課・左近士和哉さん)。
秋田には実際に美人が多いのか左近士さんに聞いたところ、「ふだんはあまり気にしてはいませんが、何げなく街を歩いていても、『美人だな』と思える方とすれ違うことが多いです。やはり美人やかわいい女性は多いと思いますよ」と答えてくれた。
秋田市の観光ポスター「秋田美人サイレントメッセージ」は今年度が第2弾で、7人の美女が登場する。その選抜は「雑誌などに掲載実績のある女性から選抜した」とのことで、学生や社会人で構成されている。そのうちのひとり、木原菜々さん(ポスター上段右)に、秋田の魅力についてコメントをいただいた。
「春が近づいてきました。春といえばお花見ですよね。秋田市にある千秋公園では、毎年4月にさくらまつりが開催され、屋台やステージイベントで賑(にぎ)わいます。今年の会期は4月19日から30日です。皆さん、千秋公園でお花見しましょう」(木原菜々さん)。
秋田市公式サイトの「今日の秋田美人」も大人気
秋田市の「秋田美人キャンペーン」はポスターにとどまらない。秋田市には、秋田市観光ポータルサイト「アキタッチ」なるものもある。こちらのサイトには、「今日の秋田美人」なるコーナーも組み込まれていて、随時更新されている。更新期間は1週間だったり10日だったり不定期だが、新たに登場する秋田美人を見逃すまいと、ちょくちょくサイトを覗(のぞ)きにくる人がいるほどの大人気だ。
「サイトでは、秋田美人をビジュアル的に前面に出して、市内のお薦め観光スポットや行事などの情報を提供しています。観光誘客が目的です」(左近士さん)。
ただ残念ながら、サイトでは常に最新情報しか表示されないため、最新のひとりしか見られない。しかし、これまで登場した人たちは全員、あきた観光レディー経験者などから「ふさわしい方」を選抜するという方法で選ばれており、3月14日までに38人の美女が登場している。そのうちのひとり、鎌田夏美さんからも秋田の魅力についてコメントをいただいた。
「東北三大まつりのひとつ、秋田竿燈(かんとう)まつりは毎年8月3日から6日の日程で開催されます。流麗なお囃子(はやし)のせて、高さ12m、重さ50kgの竿燈を思いのままに操る差し手の迫力は圧巻です。今年の夏は是非秋田市にお越しください」(鎌田夏美さん)。
田沢湖・角館では「秋田美人100人隊」の出撃を準備中
「秋田美人」を観光のコンテンツにしようとしているのは、秋田市ばかりではない。美人演歌歌手の藤あや子さんの出身地である仙北市でも、2011年から田沢湖・角館町観光連盟が「秋田美人100人隊」を結成し、東京などで行われる観光キャンペーンに派遣している。
「震災の直接の被害は受けませんでしたが、仙北市も観光客が激減しまして、ここは女性の力を借りて盛り返していこうと100人隊を結成しました。2013年も仙台や首都圏でのキャンペーンに参加予定です」(田沢湖・角館観光連盟・細川秀清さん)。
この「秋田美人100人隊」は、旅費の自己負担などがあるため、選抜ではなく応募したほぼ全員が隊員となる。中には年配の方もいらっしゃり、2012年は70歳代の秋田美人もいたそうだ。
そもそも、秋田市や仙北市ばかりか、秋田県も「あきたびじょん」をキャッチフレーズとするイメージアップPRを実施している。そのポスターの「あきたびじょん」の「ょ」の文字は限りなく小さく、「あきたびじん」としか読めないのがポイントだ。
昔から民謡・秋田節でも、「おらが秋田は 美人の出どこ お米にお酒 秋田杉 それに名のある おぼこ節 こけし人形に 蕗みやげ (ハ イヤサカ サッサ)」と歌われている通り、秋田観光のキラーコンテンツは「秋田美人」なのである。