コダックは4月17日、ベルサール神保町にてドキュメントイメージング事業方針と新製品の位置付けについて発表を行った。冒頭、執行役員でドキュメントイメージング本部長の田中毅氏より、現況の報告がなされた。最近ではアベノミクスなる言葉とともに政界、経済界の働きかけにより景気動向も上向きになってきたが、コダックもその恩恵にあずかっているという。

2011年に発売したドキュメントスキャナの「i2000」シリーズ、2012年にポータブルスキャナ市場に投入した「i940」に続き、2013年は国内ドキュメントスキャナ市場で成長目覚ましいミッドレンジに注力。コダックの強みでもある「分散入力」が可能なA3対応分散入力スキャナ「i3200」と、A4ロータリー式デスクトップ型スキャナとA4フラットベッドスキャナを統合した「i2900」を投入すると述べた。同製品は、金融、医療、自治体、BPO市場への営業戦略を継続するとともに、パーソナルユース、例えばSOHOや在宅勤務を行う個人にも目を向けていくという。

i3200の主な仕様は、イメージセンサーがデュアルCCD、出力解像度が最大1,200dpi、ADF容量が最大250枚、読み取り速度が最大50枚/分および100イメージ/分(200dpi/300dpi)、1日の推奨処理枚数が最大15,000枚、出力ファイル形式がTIFF / JPEG / RTF / BMP / PDF(検索可能PDF含む)、本体サイズがW431.8×D370.84×H234.6mm。一方のi2900は、読み取り速度が最大60枚/分および120イメージ/分(200dpi/300dpi)、1日の推奨処理枚数が最大10,000枚となる以外は、i3200とほぼ共通。

ドキュメントスキャナを取り巻く環境は、「分散入力」「クラウド」「ビッグデータ」といったテクノロジーの進化によって変化してきたと田中氏

本日、田中氏が自信を持って紹介したのが、i2900とi3200だ。昨今のドキュメントスキャナ市場の動向をにらみ、先進性・利便性を盛り込んだ

引き続き、ドキュメントイメージング営業部のシニアマーケットアナリスト、赤井誠氏によって各製品の紹介が行われた。i2000シリーズの新機種として投入されたi2900の最大の特徴は、堅牢かつ高い精度を誇っていた同社製品の良さをそのままに、A4ロータリー式デスクトップ型スキャナとA4フラットベッドスキャナを統合。スキャンヘッドは、ロータリー式に表裏ふたつ、フラットベッドにひとつ搭載されている。フラットベッドスキャナを搭載しながらコンパクトなデザインも大きな特徴と言えるが、フラットベッドスキャナの読み取り面に工夫が凝らされ、雑誌や束の厚い辞書などをスキャニングしたときに綴じ部分が黒くなってしまう現象を解消しているのだ。

赤井氏は、本日発表したi2900とi3200をミドルクラス向けに投入するとポジショニングマップを用いて解説

筆者が非常に便利だなと感じたのが、i2900のブックエッジによる綴じ目が黒くならずにスキャニングできる点。フラットベッドのスキャンヘッドは左右方向に動く仕組みになっている。細かな部分だが、業界唯一としてTWAIN、ISIS、Linuxベースのスキャンアプリケーションに両機種とも対応している

コチラがブックエッジ部分を拡大したもの。フラットベッドの縁までスキャニングできる機構のため、束の厚いドキュメントのスキャニングにも対応している

一方のi3200は、最新鋭のロータリー機構を搭載しており、コンパクトでありながら高い機能性、信頼性に優れたもの。250枚まで積載できるフィーダーを備え、心電図などの長尺原稿や、厚みがバラバラな原稿もスムーズに読み取れる。実際にストレートバスによって長尺のカタログをスキャニングしたのだが、スピードはもちろんのこと、特別なオプションを必要としないのは、ユーザーにとっても歓迎できる機能だろう。

また、i2900、i3200より導入された、インテリジェントドキュメントプロテクションなる機能とは何か。原稿がスキャナにフィードされたときに、破損の恐れがあるドキュメントを超音波を用いて検知し、ドキュメントが破損される前に対応するというものだ。

クシャクシャに折られた紙を実演スキャン。写真右の左側は折り目などが目立つのに対して、右側のクリアさに注目してもらいたい

例えば、ノリ付けされた紙やステープラーで綴じられた書類などを誤ってスキャナにセットしてしまっても、破ける前に停止してくれるのだ。ユーザーのケアレスミスにも配慮した優しさは、コダックの75年以上という経験をベースにフィードバックされたものと言えるだろう。

その経験は、ドキュメント搬送部にも活かされている。故障が少なく、いつまでも変わらないフィーリングでスキャニングできる堅牢性は言わずもがなだ。また、読み取り原稿がシワだらけな状態であっても、折り目やシワが目立たないように、クリアにスキャン可能だという。これは、原稿の読み取り時に照射する、LEDの明かりによってもたらされているのだとか。こういった細かな積み重ねが、使い勝手の良さにつながっているのは間違いない。

写真左は簡単操作を実現するオペレータコントロールパネル。写真右は高精細な出力を実現する読み取り部。このLEDの照射によって、シワも気にならないクリアな結果が得られるのだ

また、操作しやすいユーザーインタフェース、多彩な出力フォーマット、バッチ処理などが好評だった「キャプチャプロソフトウェア」の使い勝手はそのままに、i2900とi3200には「キャプチャプロソフトウェア ライト」がバンドルされる。面白いのは、バーコードの読み取り機能によって、スキャンした文書を自動で振り分けるなど、ユーザーの利便性を高める機能を満載していることだ(現時点ではソフトウェア単体での販売の予定はないという)。

気になる価格については下記の通り。

製品名 価格税別
イノベーションスキャナーi2900 278,000円
イノベーションスキャナーi2900
キャプチャプロソフトウェアライトバンドル
298,000円
イノベーションスキャナーi3200 400,000円
イノベーションスキャナーi3200
キャプチャプロソフトウェアライトバンドル
450,000円

i2000シリーズについては20%の値下げを敢行し、より求めやすくなった。

コダックは、ユーザーに最適なスキャナ情報を提供するため、特設Webサイトを公開。最新の活用事例紹介や機能を分かりやすく伝えるためのデモンストレーション動画など、多種多様なコンテンツをそろえているので、ドキュメントスキャナに興味のある方はチェックしてみて欲しい。