帝国データバンクの大型倒産速報によると、総合印刷業者の日本ウエブ印刷は17日、大阪地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日同地裁より保全命令を受けた。
申請代理人は中井康之弁護士、監査委員は印藤弘二弁護士が選任されている。
帝国データバンクによると、日本ウエブ印刷は1949年9月に創業し、1961年1月に法人改組。主に有名通信販売業者の商品カタログ印刷を手がけており、一部百貨店やスーパー向けなどのチラシ印刷のほか、製版や製本なども行っていた。大阪や埼玉などに6工場を所有し、17台の輪転機を24時間態勢で稼働させるなど中堅印刷業者ではトップクラスの生産体制を確立するとともに、通販業界特有の短納期にも対応して顧客基盤を構築。国内各地に営業所を開設するといった積極的な営業体制により業務を拡大し、2008年9月期には年売上高約143億4,000万円を計上していた。
しかし、リーマンショック後、国内景気の低迷から不動産業者や百貨店関連の受注が低迷したほか、主力のカタログ印刷事業がネット通販などの台頭により受注が落ち込んだことで、2010年9月期には年売上高約110億5,500万円までダウン。その後、カタログ受注は回復の兆しが見られたものの、2011年3月に発生した東日本大震災に伴い、原材料供給不足の影響を受けて4月から5月の売上が低下し、収益面も受注単価の下落や設備投資に伴う金融債務の増加などにより不振が続いていた。
このため、2011年6月には鶴見工場(大阪市)を閉鎖して不動産を売却したほか、役員報酬削減や人件費カットなどのリストラを実施したものの、資金繰り改善には至らず、2012年6月には金融機関へ返済条件の変更を要請。バンクミーティングを数度開催して協議を重ねていたが、資産査定の結果、債務超過に転落するなど財務悪化から信用不安は拡大。2012年9月期の年売上高は約101億4,600万円の減収となり、過年度の決算修正により約30億円の赤字を出していた。
同社はその後も自力再建の道を模索したものの、2013年4月に役員による資金流出が発覚するなど資金繰りが急速に悪化、民事再生法による再建を目指すことになったという。
負債は、申請時点で約88億3,000万円。