クーラーマスターが2013年1月に発表した「HAF XB」は、ATXマザーボードにも対応したキューブ型PCケース。キューブ型というと、Mini-ITXやマイクロATXといった小型フォームファクタに対応した製品がほとんど。

ATXに対応した「HAF XB」は一目見てそのデカさに圧倒されてしまう。W442×D423×H330mmの本体サイズは、大の大人でも両手で抱えきれないかもしれないと思うような大きさだ。

HAF XB

その分、小型フォームファクタのキューブ型ケースと比べて、段違いにゆとりのあるシステム構築が行える。指や腕が太く、小型ケースに窮屈な思いをさせられてしまう筆者のような人間にとっても安心、いや親近感を抱くフォルムをしている。

ちょっと横長のキューブ型ケース。ぱっと見るとそれほど大きいように見えないが、実際に見てみると少し驚く

重量も約8.2kgとどっしりとしており、シャーシのつくりなどもがっしりとした印象だ。

「HAF」シリーズならではの強力なエアフロー

クーラーマスターが展開する「HAF」シリーズは、HAF="High Air Flow"の名が示すとおり、高効率なエアフローによる冷却性能を重視したPCケース。「HAF XB」も、ほかの「HAF」シリーズの製品と同様に強力なエアフロー性能を備えている。

フロントパネルを外すと120mmファンが現れる

フロント面に搭載された2基の120mmファンから空気を取り入れ、リアに向けて直線的に空気が流れるようになっている。オプションとして背面に120mmファン×1基と80mmファン×2基、天面に200mmファン×1基を増設可能。

背面はメッシュ加工でかなり風とおりがよさそう

左右のパネルのほか、天面にはメッシュ加工が施されている。組み込むPCパーツによって、例えばフロントと天面から吸気してリアに流す、あるいはフロントとリアから吸気して天面に排熱する形で柔軟にエアフローを変えることも可能だ。

また、「HAF XB」の場合はマザーボードベースによって、CPUやGPU、マザーボードなどを配置するシステムエリアと、ストレージ&電源ユニットエリアに分けられている。熱源が2つに分断できるので、それぞれの熱源に対して熱処理を考えることもできる。

マザーボードベースによってケース内が上下に分かれている。奥のサイドパネルにもメッシュ加工が

上からも右からも左からもマザーにアクセスできる

「HAF」シリーズとして十分なエアフローを確保しつつ、「HAF XB」は非常に高いメンテナンス性を実現している。「HAF XB」では、ケース中央に設置されたベースにマザーボードを平置きする。天板を外すとすぐにマザーボードにアクセス可能。しかも平置きをしているので、メモリやGPU、拡張ボードといったパーツの脱着に加え、ケーブルやコネクタの抜き差しもしやすい。

左右のパネルも取り外し可能で、天板と左右のパネルを取り外すとほとんどケースのフレームといった状態になる。上と左右の3方向からパーツへのアクセスが可能で、パーツの検証やオーバークロックなどを行う際に用いられるテスト台、いわゆる「まな板」として使うこともできるだろう。

ケースを取り外すとほとんどフレームのみという様相に。かんたんにマザーボードベースにアクセスできるほか、ベースを外せば電源とストレージもすぐに手を入れられる

巨大な空間を生かして、高さ180mmまでのCPUクーラーや長さ334mmまでのグラフィックスカードが搭載でき、NVIDIA SLIやAMD CrossFireXの3-way構成に対応する。また、フロント部の120mmファンを取り外すことで、240mmまでの水冷ラジエータを搭載できるという。

フロントのファンを外して水冷ラジエータを搭載することもかのうなほか、リアにも水冷ラジエータを搭載できるスペースがある

マザーボードベースの下には、ストレージや電源を配置する。搭載ベイ数は、5.25インチオープンベイ×2基、2.5インチシャドウベイ×4基、3.5インチあるいは2.5インチのホットスワップ対応ベイ×2基を備える。

5.25インチオープンベイを2基備える

ホットスワップ対応ベイも2基搭載する

ATX電源に対応。電源設置部分にはほこりの侵入を防ぐダストフィルターを搭載している。

電源設置スペースにはフィルターを配置

コア自作erにこそふさわしいケース

サイズの大きなパーツもらくらく収めることができて、なおかつ頻繁なメンテナンスも問題ない。最新のハイエンドパーツを常に導入する必要があるゲーマーや、オーバークロッカーにとってメンテナンス作業のしやすさは重要な点だろう。その点から考えると「HAF XB」はコアな自作ユーザーにこそお勧めしたいケースである。

そのメンテナンス性の高さと表裏一体であるのだが、問題はサイズの大きさで、442mmの横幅というと単純にタワー型ケース2台分であり、置き場所を考えながら導入する必要があるだろう。

「まな板」のような作業感がほしいけれど、もうちょっとケースらしいものがほしいと思っているユーザーにとって最適なケースだ。

製品名 HAF XB
本体素材 スチール(ボディ)、プラスチック(フロントベゼル)
対応フォームファクタ ATX、microATX、Mini-ITX
冷却ファン フロント:120mmファン×2基(標準)、リア:120mmファン×1基 or 80mmファン×2基(オプション)、上部:200mmファン×1基(オプション)
搭載ベイ 5.25インチオープンベイ×2基、2.5インチシャドウベイ×4基、3.5インチあるいは2.5インチのホットスワップ対応ベイ×2基
拡張スロット 7
インタフェース USB 3.0×2、ヘッドホン×1、マイク×1
サイズ/重量 W442×D423×H330mm/約8.2kg
店頭予想価格 16,000円前後