ユーザーがWi-Fiに求めるハイパフォーマンスなコネクティビティを実現
Wi-Fi Allianceは4月15日、六本木アカデミーヒルズにて「Wi-Fi Alliance メディアブリーフィング2013 Spring」を開催した。Wi-Fi Allianceとは、業界をリードするコラボレーションフォーラムで、世界に約500以上ものメンバー企業が参画している組織だ。日本ではSoftBankやauといった通信事業者、富士通や東芝といったPCメーカー、そしてアイ・オー・データやバッファローといったサプライヤーを含め99社が参画している。
今回のメディアブリーフィングでは、市場概況に加えWi-Fi CERTIFIED acの市場投入時期、そして先日発表のあったWi-Fi AllianceとWiGig Allianceの統一について語られた。
登壇したのは、Wi-Fi Allianceでマーケティング&プログラムマネジメントディレクターを務めるケリー・デイヴィス フェルナー氏。Wi-Fiは世界で最も頻繁に使われているテクノロジーのひとつとして、全世界で約25%の世帯が自宅でWi-Fiを利用しており、2016年には約8億世帯にまで拡大するのではないかとのこと。
ことモバイル環境にいたっては、140万を超えるホットスポットが存在し、今後も拡大していくという。それに従って、ユーザーのコネクティビティに対するニーズは右肩上がりとのことだった。日本でも、政府主導でWi-Fiスポットの強化に取り組んでいるが、Wi-Fi対応機器の増加に伴い、これは急務だろう。
IEEE802.11ac認定プログラム「Wi-Fi CERTIFIED ac」がスタート
気になる「Wi-Fi CERTIFIED ac」についてだが、6月を目処に認定プログラムをリリースするとの発表があった。Wi-Fi CERTIFIED acは、いわゆる「IEEE802.11ac」の認定プログラム。相互接続性、バックワードの互換性、卓越したパフォーマンス、それらすべてを基盤にした最新世代のWi-Fiテクノロジーで、最高1.3Gbpsのデータレート(転送速度)を実現するとともに、ほとんどのレガシー(2.4GHz/5GHz)デバイスもカバーするというもの。
2013年4月15日時点でIEEE802.11acはドラフト段階だが、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)にて正式リリースされる前に、Wi-Fi Allianceが認定プログラムを開始する。日本国内でも電波法の改正を受け、NECアクセステクニカの「AtermWG1800HP」、バッファローの「WZR-1750HP」、アイ・オー・データ機器の「WN-AC733GR」といった、IEEE802.11ac(ドラフト版)対応の無線LAN製品が発表済みだ。
また、Wi-Fi AllianceとWiGig Allianceの統一についても語られ、WiGig Allianceの活動が2013年末を目処にWi-Fi Allianceに統合されるという。「WiGig」(Wireless Gigabit)は60GHz帯の電波を用い、最大7Gbpsという高速通信を行う規格(そのぶん通信距離が10m程度と短い)。
60GHzデバイスは、マルチギガビットのデータ転送速度と低レイテンシ(待ち時間)を可能とし、非圧縮のHD動画のストリーミングなどに強みがある。例えば、テレビやゲームなどの分野であれば、待ち時間を感じることなく楽しめるというから、快適性の向上に期待して止まない。ちなみに、最初の認定プログラムは2014年にリリースされる予定だ。
レガシーデバイスのカバレッジに加え、高いデータ転送速度を誇るWi-Fi CERTIFIED acと低レイテンシ(待ち時間)のWiGig。双方のメリットを"いいとこ取り"できるようになると、我々の生活もより利便性が向上するとともに、新たなサービスの登場を予感させる |
また、メディアブリーフィングでWi-Fi CERTIFIED Miracastの現況報告、Wi-Fi CERTIFIED Passpointの現況報告についても述べられた。Wi-Fi CERTIFIED Miracastは、Wi-Fi Directによってデバイス同士が1対1でワイヤレス通信し、映像/音声を伝送する規格。一方のWi-Fi CERTIFIED Passpointは、Wi-Fiホットスポットの自動検出/自動接続、ローミングなどを行う認定プログラムだ。スマートフォンなどが行う膨大なデータを、3G回線や4G回線からWi-Fiへとオフロードする役目も担う。