三陽商会はこのほど、今年秋冬シーズンの紳士服展示会を2会場で開催した。バーバリーや昨年デビューした「PRINGLE 1815」など、同社が扱うブランドの最新秋冬商品がそろったほか、「長引く日本の夏」を考慮し、「軽くてやわらかい」素材をはじめ、暑さが続く初秋の時期も快適に過ごせるアイデア満載のアイテムも発表された。

バーバリーから2通り以上の着こなし可能な「2in1」アイテム登場

バーバリーの秋冬展示会でのメインディスプレイ

軽くてやわらかいウールカシミヤヘリンボーンコート。優しい手触りだ

バーバリーが得意とするテーラードも軽くソフトな素材で用意している

新色の「ライトトフィー」(写真後方)。ビジネスコートはリバーシブル仕様のものも(写真手前)

ラグジュアリーモダンをコンセプトにしたイギリスのブランド、バーバリーの展示会は東京・九段にて開催された。同ブランドでは、「バーバリー・ブリティッシュ・トラディショナル」をベースに、現代的なエッセンスを加えるのが不変のスタイルとなっている。

テーラーリングのカテゴリー「コレクション」では、軽くてやわらかいウールカシミヤのコートや、軽く羽織れるニットジャケットなどが登場。テーラードも軽くソフトな素材をそろえた。新色のコートも用意し、キャラメルのような色の「ライトトフィー」は、重くなりがちなコートの中でも目を引く色に。ビジネスコートはリバーシブルになっている。

バーバリーのカジュアルライン「ライフスタイル」では、ライナーを取り外して単独で着こなせる仕様になった「2in1」アイテムが登場。ライナーはベストやジャケットとして使えるようになっており、気候によって幾通りもの着こなしができる。まだ暑い初秋にはライナー1枚で、涼しくなってきたらライナーのないジャケットを着用し、本格的に寒くなったライナーを取り付けて……、といったように、長期間にわたって使える商品となる。

その他にも、いま着たいもの、ほしいものを考えて、日本の長引く夏に合わせた商品が多く発表された。「軽くて薄い」にこだわりを持った秋冬のバーバリーに注目したい。

幾通りもの着こなしができる「2in1」アイテム(写真左)。ダウン入りのライナーは取り外して単独のジャケットとして着用できる。ミリタリー風のジャケット以外にも、さまざまアウターに採用される。重そうに見えるウールのコート(同右)も軽くて驚く

バーバリー・ブラックレーベルでは、赤いコートなどカラフルなアイテムがそろう

「テーラード」ではグレードの高い素材を使用した

バーバリー・ブラックレーベルからも「2in1」アイテムが登場

バーバリー伝統のブリティッシュ・スタイルとトレンドを融合し、シャープでエッジの効いたスタイルを持つバーバリー・ブラックレーベル。秋冬展示会の会場では、同ブランドのカラフルなアイテムがそろった。

「テーラード」のラインでは、グレードの高い素材を使用し、プレミアム感をアピール。トレンチコートのバリエーションも多彩にそろった。「カジュアル」ではブリティッシュ・テイストにミリタリーやウィンタースポーツなどの要素を取り入れたスタイルを発表。バーバリー・ブラックレーベルにおいても、「2in1」アイテムが数多く見られた。

ブランド横断で「京鴨ダウン」の商品もラインナップ

ここでバーバリーの展示会会場を後にし、東京・青山で開催されたもうひとつの展示会会場へ移動。この会場では、三陽商会が扱うバーバリー以外の各ブランドの秋冬アイテムが用意されていた。多彩なブランドの中からおすすめの商品を紹介していきたい。

「PRINGLE1815」では、得意のニットアイテムを強化

フード部分がニット素材になったナイロンジャケット

まずは昨年デビューしたイギリスのブランド「PRINGLE 1815」。ブランドの強みであるニットを、今年秋冬シーズンはさらに強化するという。

メンズでは珍しいツインセットや、ブランドの顔であるアーガイルのニットなどを展開。上質な素材を使用し、ニットのカラーも鮮やかに表現されている。目に鮮やかなカラフルなニットは、「PRINGLE 1815」の目玉商品ともいえるだろう。ニット素材を使用したコートも、同ブランドらしいアイテムのひとつといえる。

「Englishman in New York」からインスピレーションを受けたポール・スチュアートのディスプレイ。躍動感にあふれている

ポール・スチュアートでは、秋独特の季節の移り変わりを表現。スティングの名曲「Englishman in New York」からインスピレーションを受けたスタイリングマナーで、テーラードからリゾートシーンまでを演出した。

「モッズ・ルック」からインスパイアされたコレクション

赤いコートは一見ウールのようだが、じつはナイロンでできている

マッキントッシュ フィロソフィーは「BRITISH MODERN」をコンセプトに商品を展開。1960年代に一世を風びした「モッズ・ルック」にインスパイアされたコレクションが並んだ。鮮やかな赤いコートはウールではなくナイロンでできたポリエステルツイードだ。

需要が高まっているスマートフォンユーザーに対応し、タッチパネルグローブのバリエーションを強化したのも今年秋冬シーズンのポイントだ。展開するグローブのほとんどがタッチパネル対応になっているという。カラーバリエーションも豊富になり、ウィットに富んだ合体グローブもそろっている。

タッチパネルグローブのバリエーションを強化した

新登場のハイグレードライン「Signature」は、マッキントッシュ フィロソフィーのものづくりの頂点をになうアッパーラインとなる。英国物を中心に世界の一流素材を厳選し、日本国内のハイグレードな工場で製造。ワンランク上のラインになっているという。

ブランド横断で企画された「京鴨ダウン」

三陽商会では70周年アニバーサリー企画として、ブランド横断で、「京鴨ダウン」の商品をラインナップした。「京鴨」とは、京都で手をかけて育てた鴨のことで、日本における高級合鴨として知られている。食用としては流通しているが、羽毛衣料製品として世に出ることはあまりなかった。今年秋冬シーズン、その「京鴨」の羽毛を使ったダウン商品を展開していくという。「ジャパン・クォリティ」をぜひ手に取ってみてほしい。

バーバリーをはじめとしたブランド全体で、「長引く日本の夏」を軸に考えられた商品が多く見受けられた今年秋冬シーズンのラインナップ。幾通りもの着こなしができる「2in1」アイテムに、今後も注目していきたい。