西武ホールディングス(以下、西武HD)はこのほど、筆頭株主である米投資会社のサーベラスが同社に対して行っている株式公開買付け(以下、TOB)について、改めて反対すると発表した。

サーベラスは4月5日付で、TOBにおける買付予定数の上限を引き上げるなどの条件変更を発表。西武HDは、これをサーベラスが経営を実質的に支配するために行うものと指摘した上で、3月26日に発表した反対意見表明から「一層強く、反対の意見を表明することを決議」したとしている。

また、同社の株主に対し、TOBに応じないよう求めるとともに、既に応募を行った株主に対しても応募を撤回するよう要請。さらに、サーベラスが提案した取締役候補8名および監査役候補2名の推薦についても、引き続き反対すると表明した。

今回のTOBにおいて、サーベラスは「不要路線の廃止」や「埼玉西武ライオンズの売却」などを含む特定施策の実行を提案していないと主張しているが、西武HDによると、これはTOBの目的としていないとしているだけで、未だこれらの施策の実行の提案・要求を撤回していないという。

また、サーベラスは、2012年5月頃から西武HDとのコミュニケーションが十分に行われなくなったと述べているが、西武HDは、公正な上場プロセスとなる範囲で協議を継続してきているとし、そのような姿勢は「早期における良い形での株式上場の実現を遅らせる要因となる懸念となる」と批判している。

西武HDのコーポレート・ガバナンスについては、サーベラスが指摘するような問題は存在しないと表明。また、サーベラスは今回のTOBを「子会社化することを目的とするものではない」としているものの、実際は子会社化を狙っているとし、サーベラスが経営を実質的に支配した場合に、「早期における良い形での株式上場の阻害」および「企業価値毀損のおそれ」が現実化すると懸念している。

さらに、サーベラスは具体的な西武HDの株式上場に対する考え方やTOB後の経営への関与方針を発表しておらず、西武HDの質問に対しても明確な返答はないと主張。このほか、TOBに関する届出書などにおける応募・決済などの事務手続きに関する記載に不明確な点が見られたため、今回の訂正届出書において変更したとしている。