米国時間の4月10日に米Gartnerと米IDCが2013年第1四半期の世界PC出荷台数調査の結果を発表した。Gartnerの予測は7920万7000台で前年同期比11.2%減。IDCは7629万4000台で同13.9%減。これは同社が1994年に四半期毎の調査を開始してから、最大の落ち込みだという。Gartner、IDCともに、すべての地域で減少したと指摘。特にEMEA (ヨーロッパ、中東、アフリカ)の落ち込みが大きかった。
IDCの世界PC市場調査、出荷台数成長率の四半期毎の推移 |
IDCは2013年第1四半期について7.7%減を予想していたが、2月に販売が振るわなかったことから下方修正を行い、2桁の減少になる可能性を指摘していた。
世界経済が緩やかながらも改善した中、PCが落ち込んだ原因として、Gartnerは「コンテンツを消費するデバイスとして、PCからスマートフォンやタブレットなど他のネットデバイスへの移行が進んでいる」としている。
IDCはスマートフォン/タブレットの影響に加えて、Windows 8が回復の起爆剤になれなかった影響を指摘している。「Windows 8のリリースはPC市場にポジティブな刺激を与えられなかっただけではなく、市場を鈍化させたようだ」とIDCのBob O'Donnell (プログラムバイスプレジデント)。タッチ操作や超薄型といった新しいPCモデルを提案する製品が登場したものの、「Windows 8に対する弱い反応、そして従来の価格や部品供給といったカベに阻まれている」(IDC)。このPC需要の予想以上の減退は、Hewlett-Packard (HP)やDellの組織改革や再編にも影響を及ぼすと見ている。
コンシューマPCがタブレットに市場を奪われる傾向が続く一方で、タブレットとPCの役割が次第に明確になっている模様だ。「コンシューマ向け市場と異なり、PC出荷台数全体のほぼ半分に相当するプロフェッショナルPC市場は、PCの買い替えで引き続き成長している。いくつかの地域ではPC買い替えのピークが過ぎたものの、プロフェッショナルPC全体ではまだ成長が続いている」とGartnerのMikako Kitagawa氏(プリンシパルアナリスト)。
ベンダー別では、どちらの調査でもHPが1位だったが、2位のLenovoが迫っている。Lenovoはどちらの調査でも、トップ5の中で唯一マイナス成長を回避した。
Gartner世界PC出荷台数 (速報値) | 1Q13出荷台数 | 1Q13市場シェア | 1Q12市場シェア | 伸び率 |
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HP | 1168万8000台 | 14.8% | 17.2% | -23.6% |
Lenovo | 1166万6000台 | 14.7% | 13.1% | 0.1% |
Dell | 873万5000台 | 11.0% | 11.0% | -11.2% |
Acer | 684万3000台 | 8.6% | 10.9% | -29.3% |
Asus | 536万台 | 6.8% | 6.2% | -3.5% |
そのほか | 3491万4000台 | 44.1% | 41.7% | -6.1% |
IDC世界PC出荷台数 (速報値) | 1Q13出荷台数 | 1Q13市場シェア | 1Q12市場シェア | 伸び率 |
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HP | 1199万7000台 | 15.7% | 17.7% | -23.7% |
Lenovo | 1170万台 | 15.3% | 13.2% | 0.0% |
Dell | 901万台 | 11.8% | 11.4% | -10.9% |
Acer | 615万台 | 8.1% | 10.1% | -31.3% |
Asus | 436万3000台 | 5.7% | 6.1% | -19.2% |
そのほか | 3307万5000台 | 44.4% | 41.5% | -10.0% |